研究者に対しては、2015年成立の「科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律」第15条の2で、研究者については労働契約法の「五年」を「十年」に読み替えると規定した。研究の強化と活性化のバランスを取ったと厚生労働省は説明している。
このような経緯で、2012年の労働契約法改正から10年後の22年、23年に有期雇用の研究者の雇い止め問題が起きた。民主党政権が主導した労働契約法の改正の悪影響が今になって噴出したのである。
そもそも、なぜ民主党政権は5年たったら無期雇用に求めることができるという法律を作ったのだろうか。その理由はアゴラの記事「論理的に考えられない長妻昭議員」で説明した。
長妻議員は無期雇用原則を企業が守ると信じていたようだが、企業はリスク回避に動いた。5年を超えたら無期雇用と強制されれば、5年未満で契約を解除するのが企業の対応だった。長妻議員は「人件費は固定費」というビジネスの常識を知らなかったのである。
雇い止めされた研究者には同情する。わが国の研究能力を維持していくために、研究者を救う方向に政治が動くように期待する。