朝日新聞オンラインが記事「「私は使い捨て」雇い止めの東大助教 50代で直面した研究界の現実」を5月8日に配信した。有期雇用の助教が任期満了となり、無期への転換は叶わず、雇い止めされた。幸いこの研究者はベンチャー企業に転職できたが、東京大学は科学的成果が生まれるチャンスを「みすみす捨てた」という記事である。
昨年来、研究者の雇い止めは何度もメディアに取り上げられてきた。3月末で一段落したと思っていたが、また、同様の記事が出たわけだ。
なぜ、研究者の雇い止めは起きたのだろうか。

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きっかけは民主党政権が主導して2012年に改正した労働契約法である。通算5年を超えて有期雇用を続けると、労働者は無期雇用を求めることができると「労働契約法」第18条に定めたのである。
法律施行5年後に差し掛かった2017年に、5年が過ぎる直前の有期雇用の労働者を雇い止めする事例が多発した。繰り返しメディアも取り上げ社会問題になった。僕は民主党政権の失敗が原因であるとの解説記事をアゴラに載せた。