「つらい 営業努力ではどうしようもできない勢い」――。2月、東京都墨田区にある「押上温泉 大黒湯」の公式アカウントが吐露したツイートが注目を集めている。ツイートには1月分のガス代として「172万1826円」と記された領収証の写真がアップされており、銭湯業界が陥っている危機的な状況を心配する声が多数寄せられている。そこで今回はエネルギー市場に詳しいフリージャーナリストの寺尾淳氏に、ガス代高騰の影響を如実に受けている銭湯業界の現状について解説してもらった。

銭湯のガス代は営業時間や契約プランによって異なる

 すべての銭湯の燃料費が大黒湯ほどの高額になっているわけではないという。

「大黒湯は平日15時から翌10時までという19時間のオールナイト営業スタイルが特徴の銭湯です。15時から22時の、7時間営業の一般的な銭湯の約2.7倍の営業時間ですので、その分、燃料費も上がるでしょう。土曜日はそこから1時間伸びた20時間営業、日曜・祝日に至っては21時間営業ですので、さらに燃料費がかかっています。一般的な営業時間の銭湯は、これほど高額のガス代を払っているわけではありません。もちろん浴槽の大きさといった規模感によっても変わるでしょうし、どのガス会社と契約しているか、どのような料金プランにしているかでも、金額は変動していきます」(寺尾氏)