「安い」「シンプル」「コンパクト」三拍子揃っている

トーションビーム式サスペンションは、5リンク式サスペンションのような多方向への動きの制御はできませんが、非常にシンプルな構造で済むのが特徴です。3リンク式サスペンションに存在するラテラルロッド(横方向の位置決めをするリンク)の役割をトーションビームが担う、理にかなった構造となっています。
部品点数が少ないため生産コストが抑えられるというメリットだけでなく、上下左右への突起物が少ないため、スペース効率に優れているのもこのサスの美点です。つまり、可能な限り低床にできるというわけです。
また、トーションビームがリジッドアクスルのように荷重を分散させるため、ある程度の剛性を計算できるというのも特徴です。
これらの利点を活かして、人や荷物を後部に載せることが前提のクルマ、つまりハッチバック車や軽トールワゴン、ミニバンのリアサスペンションに使われるのが一般的になっています。
ハンドリングや乗り心地は独立懸架式に劣る

また、昨今はハイブリッド車やEVにも採用されることが多くなっていますが、これはバッテリーをマウントするスペースをトーションバー式であれば作りやすいという理由からです。
加えて、車種によってトーションビームの剛性をチューニングすることで、そのクルマの乗り味を様々に変えることができるのもメリットのひとつです。
とはいえ、トーションビーム式サスペンションはトーションビームの剛性と、トレーリングアームのピボットに入っているゴムブッシュによってセッティングが決まってしまいます。
そのため、素早く脚が動くようなスポーティな走行シーンには向かず、ジオメトリーも単純であることから、ハンドリングも乗り心地も5リンク式などの独立懸架式サスペンションには到底及びません。また、アライメント調整(タイヤ・ホイールの角度の狂いを修正すること)ができないのも、トーションビーム式の弱点といえるでしょう。
文・MOBY編集部/提供元・MOBY
【関連記事】
・【新車情報カレンダー 2021~2022年】新型車デビュー・フルモデルチェンジ予想&リーク&スクープ
・運転免許証で学科試験の点数がバレる?意外と知らない免許証の見方
・今一番危険な車両盗難手口・CANインベーダーとは?仕組みと対策方法
・SNSで話題になった”渋滞吸収車”とは?迷惑運転かと思いきや「上級者だ」と絶賛
・トヨタ 次期型ノア&ヴォクシーに関する最新リーク情報すべて