さらに、共産党は、「岸田大軍拡」は軍事対軍事の悪循環をもたらし危険であると主張する。しかし、反撃能力を含む日本の防衛力の抜本的強化は対中、対北朝鮮、対ロシアの抑止力強化に極めて有効である。なぜなら、これらの専制独裁国家はいずれも、国際法よりも徹底して力のみを信じ力には従う力の信奉者だからである。また、米欧中の軍拡競争は旧ソ連が崩壊したように、中国の経済的破綻や政権崩壊をもたらす可能性も否定できないのである(米戦略家トマス・リード=「正論」2021年7月号参照)。

日本共産党は中国に対してこそ「大軍拡反対」を叫べ

岸田内閣の反撃能力保有、防衛費増額などの防衛力の抜本的強化は、ロシアのウクライナ侵略、中国の大軍拡による台湾有事、尖閣有事の危険性、北朝鮮の核ミサイル開発加速などによる専制独裁国家の軍事的脅威への対応を最大の原因とするものである。

このような専制独裁国家による軍事的脅威がなければ、岸田内閣は決して今回の政策には着手していなかったことは明らかである。この最大の原因を作ったのは、とりわけ「中華民族の偉大な復興」をスローガンとして大軍拡を進め、台湾、尖閣を狙い、西太平洋の制空権、制海権の獲得を目指す習近平の中国そのものである。

したがって、日本共産党は、日本国の政党として、日本の岸田内閣に対してではなく、防衛力強化の最大の原因を作った大軍拡の中国に対してこそ、徹底的に「大軍拡反対」を叫ぶべきなのである。「赤旗」を見てもそのような主張も動きも一切なく、ひたすら一方的に日本の岸田内閣を非難攻撃するのみである。