バイクを引き上げよう「1/3システム」の作り方」
では用意したギアと覚えた結び方を使ってバイクを引き上げてみましょう。
ここではクライミングに利用される「1/3システム」という方法を紹介します。
まずはバイクを引き上げたい場所の近くに生えている太い立ち木にスリングとカラビナを固定し、支点を作ります(後の作業性を考えると顔より高い場所をおすすめします)。
そして先程紹介したエイトノットを使ってメインロープをバイクにくくりつけましょう。
結んだメインロープを木に設置した支点のカラビナに通します。
ここで先程紹介したスリングをクレイムハイストでメインロープに取り付けて反対の末端を支点のカラビナに通します。
こうすることでバイクを引っ張り上げている人がに万が一、力尽きてもクレイムハイストがメインロープをがっちり掴んでくれて再落下を防ぐことが出来ます。いうなれば安全装置ですね。
そしてもう一つのスリングをバイクから伸びてきたメインロープにまたクレイムハイストでくくりつけます。
そのクレイムハイストにカラビナを付けて支点1から帰ってきたメインロープをカラビナに通します。
実際にやってみると上の画像のようになります。
これで1/3システムは完成。メインロープを手前に引っ張ると「バイクの重量÷3」の力でバイクを引き上げる事が出来ます。
車重が180kgのバイクだと60kgの力で引き上げられる。(ロープとカラビナの部分で大きな摩擦力が発生するので実際に引き上げるにはもっと強い力が必要になります)
しかし、この状態だとロープを斜面下側から上に引っ張り上げる事になるのでもう少し工夫してみましょう。
先程、立ち木に作った支点の近くにもう一つスリングとカラビナを使って2つ目の支点を作成します。
そこにメインロープを引っ掛けてみましょう。
こうすることでロープを下から上に引き上げるのではなく崖下側に自分の体重を乗せて引っ張る事が出来るので先程の状態よりも楽に引き上げる事が可能になります。
注意点としては実際に引っ張り始めると支点に設置したオレンジ色のクレイムハイストの巻き付け部分がカラビナの方に近づいてくるので定期的に下側にずらしてやる必要があります。
ずらし方は簡単でメインロープに巻き付いているぐるぐる巻きの部分を掴んで下にずらしてやるだけ。(ただし、クレイムハイストをずらす時は安全装置としての役目を果たしていないのでメインロープをしっかり掴んだ状態でずらしてください)
以上のような作業が必要なので「バイクを一気に引き上げる」というよりも「数センチ引き上げる→クレイムハイストを再セットする」といったちょっとずつバイクを引き上げる形になります。
以上が1/3システムを使ったバイクの引き上げ方法でした!