黒坂岳央です。
「孤高の天才」とか「烏合の衆」「集合愚」といった言葉がある。この言葉には「優秀な人ほど一人で行動し、愚者ほどベタベタ四六時中群れるという」イメージがあるのではないだろうか。
もちろん、個別の例外を取り上げると何も話ができないので、今回はこの仮説を前提に全体論的に考えたい。その場合、ある一つの疑問が生じる。それは「愚者が群れるのか?それとも群れるから愚者になるのか?」というものである。
本稿は特定の誰かをバカにするのではなく、社会科学への探究の意図を持って書かれた。

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主題の理解をするために知っておくべき理論がある。それは幸福のサバンナ理論(Savannah Hypothesis)だ。ものすごく簡単にいえば知能が高い人ほど孤独になりやすいという話だ。一部においてこの理論の正当性を疑問視する声もあるものの、下記の通りざっくりこの理論を解説したい。
サバンナ理論によると、知能の高い人ほど自分自身の特性や価値観を客観的、自己実現欲求を冷静に理解しており、自己完結的に生きる傾向がある。そのため、自分が持っている時間という資源を学習や研究など一人で集中する活動に投じるため、結果として孤独の状態を獲得するというものだ。(もちろん、前提としてこの主張は多様性を無視して一般化しすぎており、必ずしもすべての知的な人が孤独を好むわけでもないのは言うまでもない。)
しかしながら、知能が高い人の思考や探究を理解や共感を得られる機会は必然的に少なくなる事実は否定できず、これも孤独の獲得を促進する要素になると思っている。たとえば世界トップクラスの数学者は自分の理論や考え方を理解してもらえる機会は極端に少ないだろう。
以上を踏まえると昨今、孤独な人が増えたとされるがそのすべてに悲壮感漂うものではなく、一部において自ら孤独な状態を能動的に獲得する人種も存在しており、その中には比較的知能が高い人達も存在するといえるのではないだろうか。