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岸田文雄総理が議長を務める経済財政諮問会議は4月26日に、「異次元の少子化対策」が出生率や人口をどの程度プラスの効果を与えるのかに関する試算結果(「成長と分配の好循環を生み出す経済財政政策に向けて」)を4名の民間議員連名で公表した。
それによれば、児童手当や高等教育、住宅支援など子育て中の世帯への給付を国内総生産比で1%(5兆円)程度増やした場合、出生率は0.05~0.1上がり、対策をとらない場合と比べて2060年時点の人口が90万~180万人増えるとした。
さらに、男性の家事参加をOECD(経済協力開発機構)加盟国のうちデータのある30カ国の平均まで引き上げると、女性の家事や育児の負担が減ることで、出生率が0.1上昇、勤労者の所得が毎年2%上昇したとした場合0.1上昇、特に若年層に賃上げの原資が重点的に配分された場合はさらに0.1上昇することとなり、こうした施策が実行された場合は、先の財政支出が伴う施策の効果とあわせて2060年時点で最大730万人程度人口が増加する効果を見込んでいる。
1人当たり1億円から2億円この2060年時点の人口増の数値が必ずしも出生増には対応しないものの、毎年5兆円の財源をだいたい40年間、つまり200兆円ほど注ぎ込んだ結果、人口が最低90万人、最大180万人増えるということなので、この経済財政諮問会議の有識者の試算を前提にすれば、「異次元の少子化対策」の費用対効果を弾き出すことができる。つまり、最高の効果を引いた場合は、200兆円÷180万人≒1億円/人、最低の効果を引いた場合は200兆円÷90万人≒2億円/人となる。
筆者は桁の大きな数字同士の計算が昔から苦手なので、はじめは計算を間違えたのかと思い何度も計算し直したのだが、何回計算し直しても同じ結果になったので、多分間違ってはいないと思う(実はいまだに自信がない)。
これはどう考えても、「異次元のコスパの悪さ」ではないだろうか。