「アリの巣そのものが巨大な生体組織」
“自爆アリ”自体は1916年に初めてその存在が公になったが、1935年以降は見つかっていなかった。今回の調査で研究チームは15種類の“自爆アリ”を特定したのだが、集団を守るために命を投げうって“自爆”する習性を持った種を発見したのは今回が初めてのことになる。
それまで観察されていた“自爆アリ”は巣から離れた場所での個体間の戦闘において最後に“自爆攻撃”を繰り出すのだが、今回の発見のように集団を守るために“自己犠牲”を行う習性を持つ種は自然界ではきわめて稀である。
“自己犠牲”を行う個体は働きアリの中でも少数で標準的な体格をしている。一方でメジャーな働きアリは頭部が大きく育ち、頭をまるでフタのように使い巣穴をブロックする“門番”のような行動もとるということだ。“自爆アリ”はこの門番を守るようにして自爆攻撃をしていることになる。

「このような“自爆防衛”を図る習性を持つ生物は、アリやハチなどのきわめて社会的な生物種だけに見られるものです。アリのコロニーは個人の家族として扱われるべきではなく、集団そのもののが巨大な生体組織であり、個々のアリは身体の細胞のように働き、それぞれの役割を果たしています」とウィーン自然史博物館の研究員であるアリス・ラシーニー氏は語る。

ラシーニー氏によればまさにアリは組織の“歯車”ということになる。とはいえこの自己犠牲に徹したアリの“美談”がよからぬ形で利用されないことを願うばかりだが……。
参考:「Daily Mail」、「ABC News」、ほか
文=仲田しんじ
提供元・TOCANA
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