鉄柱の表面に「受動的な保護膜」が形成
デリーの鉄柱のあまりにも高い耐久性に、少し前までは地球外由来の素材であったり、時代考証にミスマッチした謎の“オーパーツ”ではないかとも考えられてきたのだが、その後に考古学者と科学者の検証によって古代インドの鉄工職人が達成した高度な技術のなせる業であることがわかってきた。
このデリーの鉄柱は西暦415年に建てられ以来1600年以上の間、その地上部分に限っては錆が内部に進行していない。いったいどうしてこれほどの劣化耐性を有しているのか。

インドの鉄柱は金属材料を加熱し打撃または加圧して接合する鍛接(forge welding)の手法で作られているのだが、使われた鉄は純鉄ではないことから製造の過程で不純物のカスが含まれていた。また古代インドの鉄工は製錬工程で石灰を使っていなかったため、鉱石中のリンは除去されていなかった。
インド工科大学カーンプル校のバラスブラマニアム博士が「Current Science」誌に発表した研究では、この不純物が酸化してできた酸化物が鉄の高濃度のリンと組み合わさるとその相互作用で「受動的な保護膜(passive protective film)」が鉄の表面に形成されて鉄を腐食から守る働きを見せるということだ。
1600年もの間錆びることなく風雨に耐えてきたこの奇跡の鉄柱だが、おそらくこの先もずっとこのままの姿を保っているのだろう。いつまでも錆びないデリーの鉄柱の凛とした壮健な佇まいとその驚異の“アンチエイジング”ぶりにぜひともあやかりたいものである。
参考:「Live History India」ほか
文=仲田しんじ
提供元・TOCANA
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