形のあるものはいつか壊れるし、鉄であればそのうちに錆びてボロボロになるのが世の習いだが、驚くべきことにインドには1600年が経っても錆びずに今もしっかりと聳え立つ鉄の柱がある。なぜそれほどまでに頑健な鉄柱が存在し得るのだろうか――。
1600年経っても錆びない「デリーの鉄柱」
老いは“錆び”にもたとえられるように、いろんな意味でいつまでも錆びない人でありたいものだ。
とはいえ“経年劣化”という言葉もあるように、いつかは老いて錆びていくのは自然の摂理だが、インドには雨風に晒されながらもなんと1600年もの間錆びることなくしっかりと立つ鉄の柱がある。
インド・デリー市郊外にあるイスラム教の宗教施設「クトゥブ・ミナール」内にある「デリーの鉄柱」は屋外に建てられてあるにも関わらず、すでに1600年もの間錆びることなく壮健な姿を誇っている。

(画像=画像は「Wikimedia Commons」より、『TOCANA』より引用)
デリーの鉄柱はグプタ朝時代の西暦415年に建てられたといわれる。柱の高さは約7メートルで、地下に埋まっている部分が2メートルある。柱の直径は約44センチで、重量は約6.5トンだ。
鉄柱にはサンスクリット語で書かれた碑文が刻まれており保存状態も良好である。碑文によれば、「ヒンドゥー神ヴィシュヌを称えるためにチャンドラグプタ2世が建立した」旨が記されているということだ。
チャンドラグプタ2世は西暦375年から415年まで在位し、グプタ帝国を拡大し、西はアラビア海、北はヒマラヤ山脈の麓、南はナルマダ川までを支配したグプタ朝最強の王であった。
またデリーの鉄柱は元々はウダヤギリ石窟群の前に立てられていたが、13世紀にこのデリーへと移されたといわれている。

(画像=画像は「Wikimedia Commons」より、『TOCANA』より引用)
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