さて、選挙直後になると色々なところで目にする「会派」ってなんじゃらほい?というお話をば。
私ほどのブロガー議員になれば、過去に絶対説明記事を書いているだろうと思って探してみると、ありましたありました。
ただ情報も古いので、少しアップデートしながら書いてみます。
選挙の時に組んでいる「党派(政党)」と、議会内で活動する「会派(議会内のグループ)」は異なる場合があります。
基本は党派で同じ会派を組むわけですが、国会においても例えば参議院に
「国民民主党・新緑風会」
という国民+無所属議員で構成される会派があります。
民主主義における議会では、物事は「数(所属議員数)」で決まります。会派の人数が多いと
・希望する委員会に行きやすくなる ・質問時間が増える、会派ごとに割り当てられる「代表質問」ができる ・議会運営委員会(議運)という重要な会議体に出られる ・委員長などのポストが回ってくる
などのメリットがあります。
だいたいどの議会でも、一定数以上の塊になると「交渉会派」といわれる公式グループとして認定され、代表質問の機会や議運の席が与えられるため、この数を目指して共同会派を組む場合が多いです。
こうした理由から、「多少の違いには目をつぶって、党派は違っても議会内では一緒にやりましょう!」ということが起きるわけですね。
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とまあ、ここまで書くと良い事だらけに見えるかもしれませんが、当然、異なる党や無所属議員と会派を組むことにはデメリットもあります。
会派・グループを組めば、議会内における政策的な主張については足並みを揃える必要があります。
「議員報酬・議員定数の削減が必要だ!」と維新メンバーが強く思っていても、一緒に組む議員がそう思っていなければ、当然に議会質問などでおおっぴらに取り上げることは難しくなります。
つまり当然のことながら、「異なる党派のメンバーを増やして会派を大きくすればするほど、最大公約数の政策は穏当なものばかりになり、エッジが効かなくなる」ということですね。
果たしてそれが、「維新」に期待して票を投じた有権者の期待に答えることになるのかどうか。
これは数の力によって質問時間や議会ポストが増えていくのとトレードオフの関係にあると言えます。
どちらが正しいかというのは、その議会の状況などによって異なるのでなんとも言えませんが、エピソードを一つ。
かつて都議会議員時代、柳ヶ瀬さんと別会派に所属してバチバチやりあっていた頃がありました。政策の近さで言えば共同会派という選択肢もありえたのですが、当時は別々にやっていたのですね。
ある日、柳ヶ瀬さんがメディアやテレビカメラを引き連れて、こっちの会派の控室に乗り込んできまして。
「身を切る改革に賛成なのか、反対なのか?都議会議員の待遇が良すぎるというなら、今すぐ給与カットに賛成するこの書面にサインするべきだ!そして自主カットも一緒にやるべきだ!」
とか言ってくるわけですよ(苦笑)。
当時、こちらは自主カットまでは踏み込んでしていない会派だったので、即答ができるはずもなく、もれなく柳ヶ瀬さんが引き連れてきたメディアによって「守旧派」のレッテルが貼られましたとさ。
こうした柳ヶ瀬さんの(他会派からは大変に評判の悪かった?!)奮闘・プレッシャーもあって、その後、都議会ではほどなくして議員報酬2割カットの条例案が議決されました。
こういう少数会派なりの「エッジを効かせた闘い方」というのは、良し悪しは別として、やはり純度100%の維新単独会派でないとなかなか難しいのではないかと思います。
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