首相外交でもそうだが、皇室外交も、別に儀礼的なやりとりをしたり、訪問国の国民に手を振ったり、産業や観光地をまわって双方の国民を教育することも大事だが、首脳同士や君主同士で悩みを打ち明けアドバイスをもらうのも大事な目的だ。

英国王室との交流についても思うのだが、昭和天皇は別として、英国の女王や王族と国王のあり方について腹を割った会話はできているのだろうか?

少なくともそういう会話をしたと平成の両陛下やエリザベス女王が仰ったこともないし、今上陛下の留学医などを見ても、紅茶を入れてもらったとか、オペラを見に行ったとかいう話はいろいろあるが、君主としての心構えをどのように教えられたかといった話は出てこない。

昭和天皇の欧州旅行や皇族たちの留学記などを見ると、何を学んだ、どんなアドバイスを昭和天皇はジョージ五世から得たかなどということがかなり詳細に出てくる。

表には出てないが、本当はかなり突っ込んだ話をされていたということならいいが、そうでないとしたらこれからは改善されるべきだ。

また、本当は突っ込んだ話をしていたというなら、戦前より情報公開が後退しているということになり、それはそれで問題だ。

皇室の方々が海外でどういう教訓を得たということは、ある程度は国民と共有するべきだし、また、こういうように思うがどうかと皇室の方々が話し、それに対して、それはぜひ取り入れてほしいとか、国情の違いもあるから採用できないとか議論してこそ進歩があるのだと思う。

君主は生まれながらに優れた資質を持っているわけではない。それを育てる伝統、側近、政治家、そして国民がともに成長させていくシステムがあってこそ、その存在価値がある。