北海道では、3月後半から本格化する雪代の影響が5月末、時には6月まで続きます。雪代は川虫の成長に必要なプランクトンなどをもたらすトラウトの生息環境には欠かせないものですが、この時期は釣りが成立する川を探すのも大変な時期です。今回はこの3月末から4月にかけてのとある小渓流での釣行を綴りたいと思います。
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(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター小峠龍英)
雪代はイワナの呼び水
今回釣行したのは、北海道のとある小渓流です。その小渓流を見つけたのは2年前の秋。アメマスのポイントを開拓すべく彷徨っていたときで、さほど期待もせずに竿を出したら岩魚の魚影の濃さに驚いたものです。
さらに昨シーズンの4月に再訪したときは、雪代の影響で増水しており、魚影の濃さはもちろん、サイズも小型から尺上まで飛び出す高活性。釣れるイワナの美しさにも惹かれ、定期的に訪れるお気に入りの川となりました。
Day1:超高活性のイワナ
例年より早く雪解けが始まりつつあった3月末、連日の暖かな陽気に誘われるようにその沢の様子を見に行きました。
3月中旬に訪れた時はまだ雪代が始まっておらず沢は静かで反応もほとんど無い状況でした。その日の気温は6℃で、水位は少し上がっているものの、遡行には問題なさそうな様子。何より深場の水の色が深緑になっているのは雪代が入り始めているサインで期待が高まります。
今の時期は流れが速い箇所にはまだ魚が付いていないのでスルーし、淵や倒木が絡むポイントを目指して遡行します。笹藪に覆い被さった残雪は硬く締まり歩きやすく遡行はむしろ夏よりずっと楽で、すぐに目的のポイントに到着。上流からの流れが絞られ、緩やかなプールが形成されたポイントで、平常時と比べると水量は倍近くまで増えています。
まずはスローシンキングミノーを上流に投げ込み、シェイキングさせながらかけ上がりを撫でるようにトレース。ミノーが一番深い部分に差し掛かる手前で、小型とアベレージサイズのイワナ数匹が戯れるように追尾してくるのが見えました。予想通りの高活性です。
淵のボスに狙いを定める
魚影を確認できてまずは一安心、ミノーを6gのヘビーシンキングミノーに替えて再度トレースします。大型が反応する前に小型を釣ってしまうと警戒させてしまうので、底に居る大型、その淵のボスに狙いを定めルアーのフラッシングがぎりぎり目視できる深さにミノーを送り込みます。
低いレンジで可能な限りスローに、手数よりも一発のインパクトを意識したトゥイッチングで誘いをかけると、その動きに合わせて何かがギラついたかと思った瞬間にはロッドが弧を描いていました。
約34cm頭に3連発
ロッドを立てて、グイグイと下流に向かって走るイワナを押さえ込み無事ランディング。体高のある太い魚体、陽が当たると黄金のような色合いを魅せる見事な約34cmの尺上イワナでした。
イワナを流れに帰したあと、今度は上流からダウンクロスでスプーンを送り込んでみると、すぐに反応があり20cm〜28cmクラスを立て続けに3尾キャッチ。昼食のため一旦車に戻り、下流の区間に移動します。
ルアーに殺到するイワナ
下流の区間は、2箇所の淵の間に浅瀬を挟み、所々に倒木が点在し対岸際に笹が覆い被さって、下流に向かって徐々に深くなっていく渓相。最初にチェックした下流側の深場でもたくさんの小型中型イワナが反応します。瞬く間にそのポイントだけで10尾以上キャッチに成功しました。
最上流の淵は、底石が点在して対岸が岩盤のいかにも大物が潜んでいそうなポイント。赤金のバルサミノーを落ち込みにキャスト、ロッドを立てて低層に送り込みトゥイッチさせます。
するとミノーを囲むかのように25~尺クラスのイワナがワラワラとチェイスします。その数は目視できただけでも5尾、我先にと殺到するイワナ達の先陣を切り、バイトしてきたのは一番大きな個体。ローリングして逃れようとするイワナをいなして難なくランディング。まるで雪代で磨かれたような美しい尺イワナでした。結局その淵だけで8尾キャッチしてその日は納竿としました。