「老人よ、お金を使おう!」なんて言ったら大炎上しそうですが、このタイトルを思いついたのは2つのヒントがあったからです。1つは日経の記事に「シニアこそ個人旅行に出かけるべし 人生100年こわくない 定年楽園への道(大江英樹)」を見かけたこと。もうひとつは内館牧子氏の「すぐ死ぬんだから」を読んでて思わず笑ってしまった内容です。

それは78歳の女性主人公が同窓会での経験で「この歳になってまだ貯金しようとしている!今は使う時でしょ」という一言に分かっちゃいるけどいつの間にか貯金癖がついている日本人への痛烈は批判で、これは意識しないと直らないのだろう思ったからです。

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いや、こんなことを書くと叱られるのは分かっています。貯金がないのに金を使っていざ病気になったらお前、責任とれるのか、と。しかし、それは極端な話で持っていない人に金を使えなんて言いません。ただ、7-8割のシニアの方は一定程度の余力の資金はあるのです。なぜなら企業年金が入っている方が多いからです。国民年金も昔はまじめに積み上げた人が多いと思います。

ただ、その貯金を抱きかかえ、年金は全部使わずに少しでも余らせて貯金をしようと涙ぐましい努力を75歳80歳になっても続けている人は多いのです。挙句の果てに貯金通帳を見て、「これであと10年は安心ね」となるわけです。もちろん、貯金は利率が0.1%しかつかない定期預金で満期になったら「あら、預金が300円もついたわ」になるのです。

高齢者の貯金は誰ものものでしょうか?自分のものに決まっているはずですが、自分で使わないで子供や孫のために取っておくという方がこれまた多いのです。子供や孫はそれを期待しているので「いざとなれば遺産が入る」という捕らぬ狸の皮算用になるのです。これは子供や孫が働かなくてもどうにかなるという心理となりやすく、経済的には好ましくないと思います。

アメリカでは相続税はあったり無くなったりしますが、あっても控除額が何億円もあります。カナダは相続税がそもそもありません。(ただしキャピタルゲイン課税はあります。)よって「子は親の背中を見て育つ」ではなく、「子は親の財布の中身を見て育つ」わけです。いや、育たないと言ったほうが良くてカナダでも私の周りには金持ちの家庭なのにアホな子供がいたりするわけです。