イタリアは議員の削減を実行した

何れにしても、国会議員の報酬は国民が納める税金に大きく依存している。議員報酬が一番多いとされているイタリアでは、2019年10月に議員の削減が議会で可決された。削減に賛成票を投じた議員は下院で553議席(定員630議席)であった。この削減によって下院定数は600議席から400議席、上院は315議席から200議席となった。

イタリアの議員が立派なのは、議員の削減を立案し、イデオロギーの違いを超越して大半の議員が削減に賛成したのである。そして、これまでの下院と上位の立場が同等であったのが、下院が上位に位置するように法改正した。現在のイタリア議会はこの改革された議員数で運営されている。

日本の議員削減は口先ばかり

日本は議員削減がこれまで取り沙汰されて来たが、どの自民党政府もイニシアティブを取ったためしがない。政治を私物化させて世襲制度を築き上げた自民党の政府だ。彼らがこの世襲制度を反故にさせるような行動は起こさないのが当然であろう。

1991年の宮澤喜一首相から始まって岸田現首相に至るまで世襲で議員にならなかった首相は村山富市、森喜朗、菅直人、野田佳彦、菅義偉の5人だけである。11人の首相はすべて世襲議員である。

日本はイタリアと同様に首相の交代が頻繁に起きる国で、それは国の繁栄にはまったくつながらない。しかも、国会議員の3分の1は世襲議員である。(「開かれた市政をつくる市民の会」を参照)。

だから今の国会議員が率先して国の繁栄の為に改革を起こすのを期待するのはお門違いである。

日本を変えるには国民がイニシアティブをとって新政党に過半数の議席

もう可なり以前から日本が将来抱える深刻な問題が存在している。少子化、高齢化、人口減少に加え、30年前からのGDPの停滞、労働生産性の低迷、慢性的な赤字財政から負債の急増。貧困層の増大などだ。これらの諸問題について如何なる対策もない状態が長く続いている。

僅か20年後には1.5人の労働者が1人の高齢者の社会負担を負担するような社会になることが確実に来る。労働者の平均給与は1997年を境に所得が下降している。これでは消費は伸びないから経済の成長も期待できない。

筆者が理解できないのは、この30年余りの期間に主要国はGDPで成長しているのに、日本はそれが停滞している。国民一人当たりの所得は毎年ランキングを落としている。生産性も労働生産性も進展がない。これらの厳しい現状に国民は気づくことなく自民党の政権を受け入れて来た、ということだ。勿論、ふがいない野党にも責任がある。またこれらの現状をメディアは国民に伝えるべきであるが、それも怠って来た。メディアのレベルの低さを揶揄してマスコミを「マスゴミ」と呼んでいるとか。

この先10年以内に急激な改革を断行しないようであれば、日本の40年先は後進国に成り下がっていることであろう。その為にも、早急に新しい政党を誕生させて過半数の議席を与えて改革を断行させるべきである。