チャールズ国王の戴冠式が近づいてきたが、ここで改めて日本人を混乱させるのが、イギリスの国王と英国以外の英連邦諸国との関係だ。だが、これを正しく理解しないと世界情勢を正しくとらえることができないと思うのだ。

そこで、『英国王室と日本人:華麗なるロイヤルファミリーの物語』(小学館 八幡和郎・篠塚隆)では、この点についても論じているのだが、その一部と、少しおまけのお話を紹介したい。

日本では英連邦というが、英語では1949年以降、コモンウェルス・オブ・ネイションズ、通称でコモンウェルスである。

コモンウェルスの加盟国 Wikipediaより

イギリスの国王は「独立した加盟国の自由連想法」を象徴する儀礼的指導者としてコモンウェルス首長である。加盟国は56か国である。

かつて、サッチャー首相が英連邦内の強権的独裁者と親密で、アフリカ諸国との関係が悪くなったことがある。

そうしたときに、エリザベス女王がアフリカ諸国の肩を持って女王の政治介入だと言われたことがあったが、これは、英連邦の象徴であり儀礼的指導者としては、イギリス政府の意向通りに動くことは論理的でないことに起因するもので、これをもって、たとえば、日本の天皇が政府と違う政見を外国に対して示してもよいことにはならないのだが、誤解している人がいるので、念を押しておきたい。