そして、BOIから今年第1四半期の数字が出たところだが、外国企業による投資はさらにスピードアップし、総額で330億バーツ(1,287億円)となり、その中でも特に日本勢のシェアが増えて122億バーツ(476億円)と全体の37%を占めるに至っている。
もっとも、中国も110億バーツと日本にかなり追い付いてきているのだが…。
製造業中心からインフラやサービス、ハイテクにシフトところで、その中身を見ると、今回の外国企業の投資対象がインフラやハイテク分野で増えており、従前のような工場を中心とする単なる製造基地というより、タイ政府が注力しているインフラ、エネルギー、デジタルやソフトウエアといった以下のような産業に移行しているようだ。
タイ湾内での石油掘削事業 タイ国内の鉄道事業 天然ガスのパイプライン建設 電気自動車エンジニアリングサービス デジタルサービスのプラットフォーム インターナショナル・ビジネスセンターサービス
実際、ここ数年、タイバーツの高騰でパナソニックなど日系製造業の一部ではマレーシアやインドネシアといったASEANの他の国に工場を移すところが出てきており、タイもそろそろ中国と同じように製造基地としてやっていくのは限界が来ているのかもしれない。
一方、タイは地政学的にも人口7億人を抱えるASEAN経済圏の中心にあることから、政府はそのハブとなるべく港湾や空港、鉄道などのインフラ整備を急いでいる。実際、最近はこれまでシンガポールに本部を置いていた外資系企業が、続々とバンコクにアジアの本拠地を移しつつあるということを筆者は聞いている。

ASEAN各国 外務省HPより
今まで長きにわたり「中進国の罠」を抜け出せなかったタイだが、もしかすると来月14日の総選挙で経済音痴だった軍事政権が交代し、タイにもいよいよ現状打破の異変が起こるのかもしれない。