デュカスの哲学は、伝統と革新。この店が築いてきた伝統を大切にしつつ、革新を続けている。「ル・ルイ・カンズ アラン・デュカス」の厨房で指揮をとるエマニュエル・ピロンは、2021年にシェフに着任。以前は、パリのデュカス旗艦店「アラン・デュカス・オ・プラザ・アテネ」のセカンドシェフとして活躍し、10年ほど前からデュカスが取り組む”ナチュラリテ(自然性)”という哲学を共に研究してきた料理人だ。

甘味を凝縮させてパリッと焼き上げたアーティチョーク。イラクサソースやイソギンチャクのソーセージ仕立てと組み合わせ、カヴィアの塩味と旨味をアクセントに。©︎Matteo Carassale
最上の食材なしには最上の料理は作れない、という観点から、地元の生産者と深い信頼関係を築いている。野菜を中心に、持続可能な魚介や上質な肉を仕入れ、脂質や塩、砂糖などをなるべく排除し、加熱や発酵などの料理技術を駆使し、食材自体の魅力を存分に引き出した料理を提供。食材廃棄ゼロにもコミットしていて、一皿一皿に、貴重な食材とそれを生み出す自然へのオマージュが強く宿っている。

グレープフルーツを、スフレやソルベに仕立てたデザート。©︎Matteo Carassale
食材の本質的な風味を巧みに引き出した、一見シンプルな、しかし口に入れるとどこまでも広がっていくおいしさの圧倒的な存在感。唯一無二の感動が、ここにある。
皿の中だけでなく、内装やテーブルアート、ワインの取り揃えや料理とのマリアージュ、そしてもてなしに至るまで、最高のレベルを楽しめる「ル・ルイ・カンズ アラン・デュカス」。
歌手とオーケストラと指揮者はもちろん、演出や舞台セット、衣装まで高いレベルで揃った極上オペラを鑑賞する時と同じような感動を、このレストランは与えてくれる。

©︎pmonetta
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Le Louis XV – Alain Ducasse