ユニゾが倒産しました。「ユニゾとは誰ぞ?」と思う人が99%かも知れません。そんなブランドあったかな、と言われれば「そんなホテル、なかったっけ?」という話です。ましてや「弊社はオフィスビルを持っています」と言われても星の数ほどあるオフィスビルに所有者の名前を付けていたのは昔、一部のブイブイ系不動産所有会社が建物の塔屋に看板をつけていたぐらいです。「第〇△△ビル」と言った具合です。昔の話ですね。

ユニゾグループのホテル 同社HPより
このユニゾの倒産は規模としては今年最大の1262億円ですが、話題になっているのは発行済み社債がパーになったことでしょうか?同社は昔、上場しており、その名残で社債残高があったわけです。
ではこの会社の経営失敗とは何でしょうか?
常和不動産という名を聞いてピンとくる人がいれば相当の「通」です。私は知っていました。なぜなら私がゼネコン時代、秘書として会長と共にお仕えした社長は天下の日本興業銀行様からお越しになられた方で帯同出張の際は「興銀秘話」をいやというほど聞かされてきました。その中で興和不動産や常和不動産は興銀系不動産会社として必ず名が上がっていたわけです。銀行や証券が背景の不動産会社は、本業以外で金儲けをするスキームがあり、バブルの時は相当派手でした。
その常和不動産は常和ホールディングスと名を変えて2009年に上場します。2010年から10年間、社長を務めたのがみずほフィナンシャルグループの副社長から横滑りとなった小崎哲資氏です。小崎氏はみずほ時代に同行が2003年頃に最大の窮地となった自己資本の急落によるBIS規制問題の難局に対してスキームを編み出すことで危機を乗り越えたみずほを支えた伝説の男です。
それほどの切れ者なのにのちにユニゾホールディングスと社名を変えた常和不動産になぜ、転出し何をしたのでしょうか?同氏が経営している間、株価は低迷し、買収の標的になったのは誤算だったかもしれません。2019年に買収劇が始まる直前にPBRは0.58倍、不動産含み益を勘案したPBRでは0.25倍(ウィキ)となっていたことは小崎氏の経営の結果ではないかと思えるのです。