学研が、東南アジア市場進出を本格化させている。
学研、ベトナム教育大手と資本提携、東南アジアに本格展開
ベトナム教育大手と提携し、学研が持つ豊富なコンテンツを、ローカライズ展開するという。
「学研のコンテンツ」と聞いて、思い出すのは「科学と学習」そしてその「付録」。かつて、夢中になった「太陽熱湯わかし器」「けんび鏡」「人体骨格モデル」など。これらが、東南アジアの子どもたちにまで広がるかも? と思うとなんとも喜ばしい。
一方、国内では、2010年以降休刊となっていた「科学」が、昨年(2022年)7月に復刊されている。第1号の付録は、私たちの記憶にあるものとは、別次元の代物だ。

学研プレスリリースより
「水素エネルギーロケット」
これが復刊第1号の付録…いや、もはや付録ではない。立派な実験キットである。昨今、話題になることが多い水素燃料がテーマだ。水を電気分解し水素を作り出し、それを爆発させてロケットを飛ばす。これらすべてが、自分の部屋でできる。心躍るではないか。
理科の時間に行った、水の電気分解をご記憶の方も多いだろう。電源装置のコードを電気分解装置に繋ぎ、分解した水素を燃やす。いかにも実験的だった。
だが、この実験キットは違う。
発電は手動。水素はエネルギーに利用。実践的なのだ。「水素を爆発させて飛ばす」。この原理にときめいて、子どもも大人も、のめり込む。
発電機のハンドルを回す。回す。回す。水中の電極に気泡が付き始める。ロケット内の水位が下がっていく。水素をためて…ためて…満タンのラインまであと少し……よし点火!「ポン」。一瞬、小さな炎を見せ、ロケットが飛んでいく。

学研プレスリリースより
発売直後、SNSには親子で実験する動画が、数多く投稿された。
「大事なのはその『体験』」
アエラドット(AERA dot.)の取材に、「学研の科学」編集長の吉野敏弘氏は、こう答える。「知識や情報は後からついてくる。子どもは“好き”を見つけたら勝手に突き進んでいく」。
学研が、このような考えで学習素材を作り始めたのは、1963年(=昭和38年)からだ。
「科学もの」は売れない「科学もの」は売れない。当時の出版界のジンクスどおり、「科学」の前身誌「小学生のたのしい科学」の売れ行きは、芳しくなかった。
さまざまな施策を打つ。補助教材から読む気になる「雑誌」への転換。上級・中級・初級の3誌体制から、小学1年生から6年生までカバーする6誌体制への拡大。だが、売上は増えない。
当時、「科学」の制作を指揮していた中川浩氏は考えた。自分は、なぜ科学に興味を持ったのか。幼いころ虫取りに夢中になったこと。中学生のころ理科実験の炎色反応に驚いたことを思いだす。