バブル経済崩壊後、1990年初頭からの「失われた30年」は今なお継続しており、このままだと「失われた40年」になってしまう。そうなれば、これまでの不景気とは比べものにならない「本当の不景気」をわれわれは体験することになるだろう。

バブル経済が弾けてからの「失われた30年」

平成最初の大納会(株式市場の年間最終取引日)となった1989年12月29日の日経平均株価は、史上最高値の3万8,915円を記録。このまま上がり続けて、いずれは5万円に達するという予想もあった。

ところが、年明けから株式相場は下落し、翌1990年の大納会の日経平均株価は2万3,848円となり、実に1年で約39%の大幅な下落となった。

以降、株価は長期的にはピーク時の約4割あたりでの値動きを継続し、現在でも日経平均株価2万8,593円と振るわない(2023年4月24日の終値)。

バブル経済が弾けてから現在までの株価と経済成長の低迷を「失われた30年」といい、90年代に就職時期を迎えた当時の若者は「就職氷河期世代」と呼ばれた。しかし、生活がグッと貧しくなった実感を持つ人はそこまで多くなかったようだ。

それは、景気が低迷したときには政府が財政出動で景気を刺激するなどの対策を行ったからだ。ただし、それに伴う財政赤字を埋めるために消費税率を徐々に引き上げ、増税によりまた景気が低迷する堂々巡りを繰り返してきたのが実情といえる。

年々進行する少子高齢化による生産力低下もまた問題で、場当たり的な対応でその場その場をごまかしているうちに、日本経済の底力は確実にそぎ落とされてきている。