RXは欧州勢も凌駕する完成度。CX-60は優れたパフォーマンスが光る

初代レクサスRXは、ヘビーデューティなオフローダーをベースにしたSUVとは一線を画す上質な乗用モデルとして1997年にデビュー。現在の主流といえるクロスオーバーSUVのパイオニアとして誕生した。RXとしてすでに四半世紀の歴史を持つ最新モデルの完成度は抜群に高い。フルモデルチェンジに際しての目のつけどころはさすが、という印象が強い。プレミアムSUVとしてクルマ作りは実に手慣れている。

最新型が搭載するエンジンはすべて4気筒ユニットである。この点は時代の流れを実感させる。加えて新型は、歴代初のPHEV仕様の設定をはじめ電動化が大幅に拡充された点も見どころ。

プラグイン機能を持たないHVシステムには、従来からのアイテムをリファインした「燃費重視型」と、ターボ付きエンジンを組み合わせた新開発の「走り重視型」を設定。キャラクターの異なる2つのHV方式を用意するのも初の試みとして注目される。

システム出力367psを誇る、走り重視のHVシステムを備えた500h・Fスポーツ・パフォーマンスに乗ると、アクセルペダルを軽くひと踏みした段階で大柄なボディが遅滞なくスッと前に押し出される。この感覚は、これまでのレクサスのハイブリッドモデルとは一線を画していて新鮮。フットワークのテイストを含め、「Fスポーツ」とはいっても走り全般に過敏な印象を伴わないのも美点だ。欧州発のライバルに対する競争力を含めて、いかにもプレミアムなSUVにふさわしいと思える完成度である。

【プレステージSUV対決】SUVにプレミアムな輝きが欲しいなら、レクサスRXとマツダCX-60のどっち!?
(画像=『CAR and DRIVER』より引用)
【プレステージSUV対決】SUVにプレミアムな輝きが欲しいなら、レクサスRXとマツダCX-60のどっち!?
(画像=『CAR and DRIVER』より引用)

そんなRXからCX-60へと乗り換えると、まず感心させられるのは室内の質感。プレミアムな作品を作り慣れたレクサスに負けず劣らずの高いクオリティが感じられる。このインテリアは魅力的だ。
これまでマツダとしては手がけた経験のないカテゴリーへの初挑戦でありながら、これほどのクオリティでまとめ上げた実力は称賛に価する。

試乗車はXDハイブリッド。発進用のトルクコンバーターを持たないことが特徴の8速ステップATとエンジンの間にモーターをレイアウトしたマイルドHVシステムを採用する。スペース上の制約や48Vという低い電圧もあってモーターが発する最高出力は12kW止まり。それゆえ、RXと比べて「電動感」は薄い。

その一方でアドバンテージと受け取れるのは、ターボ付きの3.3リッターディーゼル(254ps/550Nm)が生み出すパフォーマンス。低回転域から太いトルク感が味わえ、かつ回転数が高まると直列6気筒デザインならではのバランスのよさを実感する。そのパワフルで伸びやかなフィーリングは、間違いなくCX-60の大きな美点である。
4WSのような複雑なデバイスを用いることなく5.4mという最小回転半径を達成させた点も、縦置きベースのレイアウトを採用したモデルこそと思える見どころのひとつだ。

CX-60で惜しいのは、アイドリングストップから復帰するときのショックや、フラット感に乏しいフットワークテイストなどだ。本来狙った水準には、まだ達していない。走りにはやや粗削りな感触が散見される。
今後こうした点がブラッシュアップされれば、こちらも初代モデルにして日本を代表するプレミアムSUVという評価を勝ち取れそう。CX-60には、そんな秘められた可能性を感じる。今後が楽しみな大器である。

【プレステージSUV対決】SUVにプレミアムな輝きが欲しいなら、レクサスRXとマツダCX-60のどっち!?
(画像=『CAR and DRIVER』より引用)
【プレステージSUV対決】SUVにプレミアムな輝きが欲しいなら、レクサスRXとマツダCX-60のどっち!?
(画像=『CAR and DRIVER』より引用)

レクサスRX主要諸元

【プレステージSUV対決】SUVにプレミアムな輝きが欲しいなら、レクサスRXとマツダCX-60のどっち!?
(画像=『CAR and DRIVER』より引用)

グレード=500h・Fスポーツ・パフォーマンス
価格=6SAT 900万円
全長×全幅×全高=4890×1920×1700mm
ホイールベース=2850mm
トレッド=フロント:1650/リア:1675mm
車重=2100kg
エンジン=2393cc直4DOHC16Vターボ(プレミアム仕様)
最高出力=202kW(275ps)/6000rpm
最大トルク Nm(㎏m)/rpm=460Nm(46.9kgm)/2000~3000rpm
モーター最高出力=フロント:64kW(87ps)/リア:76kW(103ps)
モーター最大トルク=フロント:292Nm(29.8kgm)/リア:169Nm(17.2kgm)
WLTCモード燃費=14.4km/リッター(燃料タンク容量65リッター)
(市街地/郊外/高速道路=11.8/14.3/15.8 km/リッター)
サスペンション=フロント:ストラット/リア:マルチリンク
ブレーキ=前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール=235/50R21+アルミ
駆動方式=4WD
乗車定員=5名
最小回転半径=5.5m