サテライトオフィス導入企業の事例

次に、サテライトオフィスを積極的に導入している企業の事例をみてみましょう。

日立製作所

日立は1999年からテレワークとサテライトオフィス勤務制度を実施しています。数度の改訂を経ながら、対象人数は2万6,000人と、日立単体の社員数3万6,000人の約7割まで拡大しています。2020年3月末時点では、グループ全体で計88拠点、月間5~6万人が利用しており、テレワーク&サテライトオフィス最先端企業といってもよいでしょう。

いつでもどこでも仕事ができるように、IT環境の整備にも力を入れています。Skype用のヘッドセット、マイクスピーカー、プレゼン用の液晶ディスプレイを配布し、社内のフリーアドレス化、会議のオンライン化、ペーパーレス化なども進めています。在宅勤務社員に対しては、投書箱を通して意見を集約し、ツールを活用して就業・健康状態の確認を行っています。

(参考:日立製作所公式サイト「日立はどのようにしてテレワークを進めてきたのか」)

りそな銀行

産経新聞の報道によると、長引く低金利で収益が低迷している銀行業界でもサテライトオフィスの設置を拡大する動きが出ています。りそな銀行では、支店の遊休スペースにサテライトオフィスを設置して、所属店舗まで行かなくても、自宅に近い店舗で仕事ができるようにしています。実施しているのは、2019年7月現在、東京・大阪・埼玉の計11ヵ所です。

育児や介護が必要な社員に向けた、働き方改革の一環として注目できる施策といえるでしょう。りそな銀行によると、一部社員を対象に試験導入した結果、通勤時間と残業時間がそれぞれ2時間短縮され、大きな効果が出ています。同行の取り組みが成果をあげれば、今後支店活用に悩む銀行業界にさらに導入の波が広がりそうです。

(参考:産経新聞サイト「オフィスやホテル併設、支店活用に悩む銀行「もはやコスト」」)

中規模商業ビルには追い風になるか

1つのトレンドともいえるサテライトオフィスの設置拡大は、これから商業ビル開発を考えているオーナーにとって追い風になる可能性があります。サテライトオフィスは大規模ビルに設置してもコスト的に合わないので、中規模商業ビルのほうが需要の取り込みでは優位性があるからです。

小回りが利くのがサテライトオフィスの魅力ですので、必ずしもワンフロア1社に限定する必要はなく、4~5階建ての中規模ビルでも多くのテナントを誘致することが可能です。テナントが多ければ賃料のほかに、礼金や更新料など二次的な収入を得る機会も多くなるでしょう。

新型コロナウィルスによるテレワーク推進で逆風にさらされていた商業ビルにとって、サテライトオフィス設置拡大は歓迎すべき傾向といえます。本社ビル集約からサテライトオフィスを活用した分散化に企業が舵を切ったことは、中規模商業ビルオーナーにとってはビジネスチャンスが広がると考えてよいでしょう。

文・YANUSY編集部/提供元・YANUSY

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