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FR化で実用性を増したフロンテバンからフロンテハッチへ
550cc化で「フロンテハッチ55」へ

FR化で実用性を増したフロンテバンからフロンテハッチへ

スズキの元祖看板車種こと「フロンテハッチ」軽ボンバンの歴史を塗り替えた進化の歴史【推し車】
(画像=商用登録のボンネットバンとはいえ内装は乗用車チックで、簡素化を極めた初代アルトとはかなり方向性が異なる,『MOBY』より 引用)

1969年に発売した、2代目スズライトバンFEII/2代目キャリイバンを統合した後継車「フロンテバン」は、FRレイアウトの採用で積載時のトラクション性能はキャリイバン並となり、まだ耐久性が万全でなかったFF車のデメリットからも解放されました。

ただし、2代目フロンテはスペアタイヤをフロントフード下に置かれたのでトランクスペースがほとんどなく、3代目フロンテ(1970年)ではスペアタイヤをリアのエンジン上へ移してフロントにトランクを設けたものの、スペース不足解消に至りません。

そのため人と荷物を同時に載せられるフロンテバンは販売好調だったらしく、より快適なモデルが求められたので、同年中に乗用登録の「フロンテエステート」を、翌年にはテールゲートを廃し、独立トランクを儲けた「フロントカスタム/ハイカスタム」も追加します。

人も荷物も載せたいユーザーの要望へ完全に応えるべく、キャビンを限界まで広げて前後にトランクスペースを設けた4代目フロンテ(1973年)が発売されると、本来の役割に立ち返れたフロンテバンは1973年のモデルチェンジで「フロンテハッチ」へと改名。

乗用登録モデルは廃止されて商用登録のみになったものの、初期のカタログではショッピングやレジャーで使うファミリーカーとしての提案が多かったのは、エステートやカスタムの名残でしょう。

なお、フロンテハッチは、運輸省へ申請されている正式な型式だとフロンテバンと同じ「LS20」で、理由は不明ながらフロンテバンの派生車、もしくはビッグマイナーチェンジ版という扱いになっています。

ただしホイールベースからして異なるなどボディは丸っきり別物だったので、スズキ車内でのみ通用する通称型式として「LS30」を併記するという、珍しい形を取っていました。

550cc化で「フロンテハッチ55」へ

スズキの元祖看板車種こと「フロンテハッチ」軽ボンバンの歴史を塗り替えた進化の歴史【推し車】
(画像=テールゲート(リヤハッチ)も垂直に近く、デザインより実用性重視の商用車、あるいはステーションワゴン的な使い方が想定された,『MOBY』より 引用)

1976年1月、軽自動車規格の改定で排気量上限が550ccまで認められると、「フロンテハッチ55」へとモデルチェンジ、今度は型式も変わってSH10型となりました。

キャビン部分はほとんど変わらず、その前方エンジンルーム部分を延長してホイールベースを95mm延長、2気筒のL50から3気筒のLJ50へ更新するスペースを確保するとともに、フロントのトレッドも広げて高速安定性を向上しています。

直列4気筒エンジン車へ強引に直列6気筒エンジンを積むべく、同じくフロント部分のみ延長したプリンス時代のスカイラインGTと同じ手法で、カタログでは「迫力のロングノーズ」と強調したものの、あまりバランスのいいスタイルとは言えません。

さらにこの頃になると、カタログも配達業やビジネススタイルの営業マンを対象にした構成となり、本来の「軽ライトバン」へと完全に回帰しています。

1979年には初代「アルト」が登場、低価格と税制面での優遇を利用して、軽ボンネットバンでありながら実質的には軽乗用車として大ヒットしますが、軽ライトバン/ステーションワゴン的に使われたフロンテハッチとは本質的に異なるクルマでした。

実際、初代アルトの開発決定前には全く違う形で「フロンテ」のモデルチェンジが計画されており、もしアルトがなければ、1980年代までフロンテハッチのモデルチェンジが続いていたかもしれません。

文・MOBY編集部/提供元・MOBY

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