近著「国破れて著作権法あり~誰がWinnyと日本の未来を葬ったのか」(以下、「国破れて著作権法あり」)の帯に黄色い文字で「Winnyの開発は早すぎたのでしょうか。それとも遅すぎたのでしょうか」とあるのは、映画でも紹介している金子氏の法廷陳述から引用した。
このため、3月11日の東宝シネマズ六本木ヒルズでの舞台挨拶付上映に続いて、今回は近くの映画館で視聴した。以下、映画のパンフから法廷での最終陳述に解説を加えながら紹介する。
私は、科学技術は素晴らしいものだという1970年代に生まれ育ちました。今でも私は、科学技術は素晴らしいものだと信じています。
そしてこれまで、私は色々なプログラムを作り発表してきました。新しい技術を生み、表に出していくことこそが、私の技術者としての自己実現であり、また、私なりの社会への貢献だと考えているからです。
このように金子氏は社会を良くしようとして、プログラムを開発した。「Winny 開発者・金子勇 死後10年に想う(上)」のとおり、欧米にも社会を良くしようとしてプログラムを開発した天才プログラマーは多い。
彼らが億万長者になっているのと対照的に金子氏は不当に逮捕・起訴された後、無罪を勝ち取るのに42年の短い生涯の7年半を奪われた。最終陳述は続ける。
10年前にWinnyを作っても、検証ができなかったでしょうし、10年後にWinnyを作っても、ありふれた技術だと見なされたでしょう。