学歴では、27人が「東大出身だ。かつて、県庁職員出身の知事が10人ほどいた時期もあったのだが、いまは定年延長で、都道府県庁のプロパー職員が副知事になれるのは60歳くらいであるので、「生え抜き知事」というのはなかなか誕生しにくい状況にある。
また、最近の傾向とか、制度改善の提案は、同じく『若くて見た目がよければ知事になれる…政策などほとんど議論されない「日本の地方自治」という深すぎる闇』をご覧頂きたいが、
それなりに無風選挙でなかった、北海道・大阪・奈良・徳島で勝ったのは①若い、②端正なルックス、③姿勢だけでも改革指向という面々で、それほどの政策論争があったわけでない。直接選挙でも米国の選挙では、予備選挙などを通じて、候補者をしっかり品定めするプロセスがあるが、日本ではそういうものもないから、断片的な印象での勝負になるのだ。
大分では、「一村一品」で知られる平松守彦、全国の知事の中で唯一の事務次官経験者である広瀬貞夫という大物のあと、同じ経済産業官僚で大分市長の佐藤樹一郎が後継として出馬した。市長としてコロナ対策などで優れた手腕を発揮して評価も高かった。
しかし、3人連続経済産業官僚というのを不安に思う人もいた。しかも、対立候補として立候補したのが、野党系の参議院議員の安達澄で、まさに上記の三つの条件を備えた候補だった。
といっても、4年前に獲得した議席を任期途中で投げだした安達では、連合が中立とするなど、野党系はまとまらず、政策らしきものもなかったので、佐藤が57.3%に対し、安達は42.7%と差をつけられた。それでも安達がそこそこの票を集めたのは、若くてイケメン、姿勢だけ改革を打ち出したからだ。
どうしたら首長多選を減少させ、官僚に偏った出自を多様化させ、議会を活性化させられるかについても同じ記事で書いたが、憲法を改正できるなら、私は都道府県首長も首相と同じように議会で選ぶ議院内閣制のほうがいいと思う。
現行憲法のままなら、現在は、首長や議員などが他の公職に立候補する段階で職を失うが、これを当選したらにすればいい。首長が国会議員に出馬したり、逆に国会や地方議会の議員が首長に立候補できるので無風選挙は少なくなる。
なお、都道府県議会選挙では、維新の躍進と共産の凋落が対照的だった。共産党について、私はG7でただひとつ共産党がそれなりの勢力をもっていることがおかしいので、名前を変え、過去を反省し、日米同盟を認めるのが再生に不可欠と、『日本の政治「解体新書」: 世襲・反日・宗教・利権、与野党のアキレス腱』(小学館新書)で書いた。
そうしたところ、代表公選を提案した京都の有力党員を除名して、古典的な共産党から脱皮してないことを露呈してしまったのが敗因だ。