問題は南スーダンに資源が偏っているため、未だにその権利関係が不明瞭だということ。では単なる内戦で周りは傍観かと言えばそうでもないのです。必ずちょっかいを出す国はあります。これがことをややっこしくします。まず、国境を接しているエジプトは軍部を支持しています。対立する「即応支援部隊」(RSF)は30万人が犠牲になった第二次内戦の時に生まれました。軍部とRSFの違いは同じイスラムながらアラブ系の軍部に対して非アラブ系のRSFという構図です。つまり今は民族間の戦いです。ややっこしいのはこのRSFにはサウジとアラブ首長国連邦がテコ入れしているようなのです。

サウジはアラブ系なのになぜ、と言われれば軍部はイスラム原理主義的思想であり、過激なため、サウジは敵対視しているという訳です。また、ロシアはRSFを支援しています。となればアメリカは軍を支持するのか、といえばイスラム過激派なのでそういう訳にも行きません。中国はもっと微妙でアフリカに相当のテコ入れをしてきたはずなのにその権益は南スーダンにあるが北とはまだ揉めているということで様子見です。仮にRSFが優位になった場合、RSFの組織は言葉も民族も違う寄せ集め集団なのでまた分離するでしょう。つまりこれがアフリカのレベルだということです。ビジネス開拓などという簡単な話ではないわけで良い勉強になります。

何処に行く「学術会議」

学術会議法改正案の国会提出を岸田首相が見送りました。様々な声が上がっています。私の基本的スタンスは以前から「民営化」です。そもそも日本学術会議は「科学の向上」を目指し、形の上では総理が所轄、経費は国の予算、活動は政府からは独立という美しいフォーメーションですが、そんなきれいな関係が世の中に構築されると思っていたら「頭がお花畑」な話です。日本が高度成長期をまっしぐらに突っ走っていた70年代までは機能していたとされますが、その後は紛糾が続きます。

今回岸田総理が法案提出見送りをしたのは「選考諮問委員会」の新設と会員候補の属性の配慮とされます。この背景は今の学術会議の会員候補は現職の会員の推薦に基づくものであり、当然ながら学術議論に偏りが生じる為です。つまり、会員の透明化です。と同時に透けて見えるのは政府の意向を汲むことだろうと察します。これは世の常なのですが、金を出す人に足を向けて寝る人はいないのです。今までは政府との対立構造も作り出せたのですが、この改革案は政府への忖度が起こり得るでしょう。

とすれば改革案では意味がなく、独立させて学者同士が健全な議論を行う場を作り、政府がその内容を吸い上げるか、参考に留めるか、はたまた国際舞台に押し出すか、ケースバイケースで決めていくしかない気がします。そもそも政府の意向は学術的意向と一致するものではないのです。政府は時としてご都合主義もあるし、社会情勢の中での判断を強いられることもあります。一方学者はそんなことで信念を変える気はさらさらないでしょう。ならば、そもそも機能しなくなった学術会議の改革法案など意味がないだろうというのが海外にいる者のドライな目線であります。

東京・六本木の日本学術会議(編集部撮影)

後記 6月に日本で会議があるため航空券を取ろう2カ月ぐらい前から価格をチェックしていました。ダイナミックプライシングですので株価のように日々変動します。おまけにその変動幅は尋常ではありません。グーグルフライトを使い、監視情報が送ってもらうのですが、当初1100㌦台で放置していたところみるみるうちに上がり、先週にはビジネスクラス料金かと勘違いするほどの3100㌦と3倍近くまで跳ね上がります。ところが一昨日、急落し1500㌦台に。ここで迷わず購入。翌日には2200㌦で今日は約3000㌦と再び急上昇中です。航空券の値動きが商品相場のようになるのは常識的におかしいし不健全です。価格幅を設定すべきでしょう。

では今日はこのぐらいで。

編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年4月22日の記事より転載させていただきました。