ワゴンRの先行開発的な軽スペシャリティカー

2001年12月、フツーのFF車として発売されたMRワゴンは、「どこがMRなんだ?(実際ミッドシップとカンチガイし続ける人はいた)」「ワゴンRとかぶらないのか?」と疑問を持たれましたが、よく見ると単なるワゴンRのガワ違いではありませんでした。
ホイールベースこそ同じですが、ワゴンRよりスマートなワンモーションフォルムでFF車なら全高1,590mmに収まるルーフは低く、翌年追加された「MRワゴンスポーツ」ではダウンサスや専用エアロを組み、さらにスポーティになっています。
さらに後席はワゴンRでは2002年9月のマイナーチェンジで採用されるリアシートスライド機構をいち早く採用しており、エンジンもワゴンRに先んじて全車K6A型DOHCエンジンに統一するなど、ワゴンRの先行開発的な役割も担う軽スペシャリティカーだったようです。
このスポーティなフォルムは初代のみの特徴で、2代目以降は後述する日産 モコを優先したのか普通の2BOXフォルムとなりますが、初代MRワゴンが生産終了した2006年には5代目セルボが発売、ワンモーションフォルムの軽スペシャリティ路線を受け継ぎました。
日産へ「モコ」としてOEM供給するも、スズキは独自路線

このアングルだと「ワゴンRのガワ違いっぽい」が、全高1,600mmを切るのでルーフはワゴンRより低く、リアシートスライドもいち早く採用して軽スペシャリティカーか軽GT的なクルマだった、
同時期、ルノー傘下のカルロス・ゴーン体制で再建を図っていた日産は軽自動車への参入を発表しており、最初のパートナーとして提携したスズキはMRワゴンをOEM供給、日産は「モコ」の名で販売しました。
日産としては売れ筋のワゴンRが欲しかったと思いますが、現在のトヨタ「ピクシス」シリーズ軽自動車へダイハツがタントもムーヴもOEM供給しないように、普通は販売力の大きな相手へ主力車種のOEM供給などしないものです。
そのため、ワゴンRと比べれば傍流のMRワゴンを差し出したのは自然な流れでしたが、日産では独自のフロントマスクでスズキのスペシャリティ路線からデザイン上の印象を大幅に変えており、「似たような別のクルマ」とするのに成功、MRワゴンよりよく売れました。
スズキではそもそもワゴンRが主力ですし、アルトより広くて快適、ワゴンRよりスポーティかつファッショナブルというニッチ路線を歩んだので、モコより少ない販売台数は問題にならなかったようです。
これで手応えをつかんだ日産は2代目・3代目とモコを販売、OEM元のスズキでもMRワゴンの販売を続けましたが、2代目以降は販売力の差もあり、日産車としての存在感の方が大きくなっており、日産へのOEM供給が終わるとともにMRワゴンも廃止されました。
※この記事内で使用している画像の著作者情報は、公開日時点のものです。
文・MOBY編集部/提供元・MOBY
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