日本に蔓延る偏狭な反リベラリズム
日本社会の自由と権利に対する無知は深刻であり、最近の「食用コオロギ問題」も偏狭な反リベラリズムが暴力的な結末を生んだ典型的な例であったと言えます。これは、徳島県の高校生が自由な意思に基づき、専門家の安全指導の下でコオロギパウダーを使った給食を作り、それを希望者が食したという行為に対し、日本社会のヒステリックな【パターナリズム paternalism】が突如発動されたのです。
パターナリズムとは、相手の利益を思いやるという名目で他者の自由に介入する反リベラリズムの一つです。高校生の行為は、誰にも強制することなく誰にも危害を加えることなく個人の自由を行使しただけなのですが、この行為に対して、SNSが不快原理に基づいてヒステリックに批判するという事態が発生しました。
さらに不快原理に基づく偏狭なモラリズムが暴走し、コオロギパウダーを使用したパンを一部商品とする食品メーカーの不買運動に発展し、陰謀論が飛び交う中、バッシングを受けた食品会社が[コオロギ生産を中止]するという事態に至りました。
この食品会社も誰に強制することもなく、誰に危害を与えることもなく、ただ自由に商品を作っていただけですが、反リベラリズムの介入を受けて生産中止に追い込まれたのです。
日本社会には偏狭な正義を振りかざしながら他者の自由に介入したがる人物が伝統的に存在します。彼らの主要なモチベーションは承認欲求であり、不快な相手を攻撃してマウントを取ることで自分が正義の存在であることを他者にアピールしたいのです。
日本の自称リベラルはその典型と言えます。反リベラリズムで暴走する彼らにとって、悪政の事実の存在やイデオロギーなどはもはやどうでもよく、他者を説教して承認欲求を満足させることが目的化しているものと考えられます。彼らに正義などこれっぽっちもありません。
編集部より:この記事は「マスメディア報道のメソドロジー」2023年4月21日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はマスメディア報道のメソドロジーをご覧ください。