問題は日本株に資金が入らない点です。海外投資家動向が日本株の行方を決定づける最大のキーです。首相が外遊した際に海外の投資家を集めて「日本に投資してください!」と言うのはそれぐらい彼らの影響力があるということです。今回、バフェット効果があったようですが、北米で投資をしている私から見ると一般論として「わざわざ日本に投資したいかな?」と思うのです。その理由の一つにどの会社も似たような顔で差が見分けにくいのです。
バフェット氏は日本の商社がお好きなようですが、私は投資対象と考えたことはありません。理由は商社は資源、食糧、繊維など多方面での知識と投資によるビジネスを構築しているのですが、投資先の海外事業でキャスティングボートを握っているわけではないのです。一定数の株式を所有し、知識や情報はあるけど運営はできないのです。よって影響力はあるけれどサイレントに近い株主として大事にしてもらっている感じでビジネスとしての尖った部分はありません。
日本の株式市場と北米市場では様々な差があります。まず、北米は1株から取引できます。日本の単位は100株程度です。なぜ、1株から取引できるか、といえば株式分割、株式併合、ストックディールによる買収が多いからです。私は手持ちが35銘柄ぐらいありますが、一年に1-2銘柄はこれに引っかかります。例えば4月3日付で手持ちの鉱山株が買収により上場廃止になりました。この会社の場合、一部の資産を別の鉱山会社に売却し、残りを別の鉱山会社が買収したので私の手元には一株当たり〇㌦の現金、及びそれぞれの会社の株式が割り当てられました。比率は小数点4桁ぐらいある数字なので当然ながら割り当て株数は細かい数字になるのです。このような取引が年中あるので1株単位で売買できないといちいち単位未満株(端株)扱いになってしまうのです。
次いで配当金です。なぜ、日本の配当金は銀行や郵便局でもらうのでしょうか?当地は証券会社の自分の口座に振り込まれます。銀行に入ってしまうとそれを再投資するのに面倒です。日本でも信用取引の場合は証券会社の口座に配当金が入ります。なぜ、それを全部に適用しないのかな、と思うのです。また配当金もアメリカは年4回程度のところが多いし、カナダでは毎月配当の会社も結構多く、人気があります。
日本人投資家は海外株がお好き、と言うのは2つの理由があると思います。1つは企業活動のダイナミックさ、もう1つは東証のルールや方式が前世代的であることです。更には証券会社の手数料はもっと安くできると思います。そして証券会社も多すぎます。企業間で大した差がないのですから今の1/3-1/5程度でいいでしょう。そして効率化を図る、これをやらないとマネーはどんどん流出すると思います。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年4月21日の記事より転載させていただきました。