旅をしながら働きたい。そう思いながらも、「自分には無理」と諦めてしまっている人も多いのではないでしょうか。私もそのひとり。思いっきり諦めていました。

そんななか、Twitterを徘徊していたときに目に入ったのが、ルイス前田さんのアカウント。世界83ヶ国を旅しているというルイス前田さんのタイムラインには、毎日、海外の風景が投稿されています。

どうやったらこんな生活が送れるようになるのだろう…?と気になっていたところ、ご縁があり、ルイス前田さんにインタビューを実施する機会をいただきました。

せっかく話が聞けるなら「これを読めば、すぐ海外フリーランスになれるレベルの記事を書こう」と思い、海外フリーランスに必要な準備やお金、税金、仕事事情について聞きたいことを全部質問しました。

旅をしながら働きたい。一度でもそう思ったことがある方は、ぜひご覧ください。

海外を旅しながらフリーランスで働く方法。『海外ノマド入門』著者が伝授
(画像=『Workship MAGAZINE』より引用)

ルイス前田
1987年、大阪府生まれ。大学時にニューヨーク留学、世界一周を経験。新卒で大阪ガス入社後、オプトを経て、TABIPPOで起業しました。現在は、月間250万人が利用する旅行メディア『TABIPPO.NET』の編集長や、FMラジオ『FUTURES』パーソナリティー、ブロガー、エンジニアなど。これまでに83ヶ国140都市を訪問、世界二周して、次の夢は宇宙飛行士。56人のノマドワーカーによる海外ノマドになるための入門書『海外ノマド入門』販売中。(Twitter:@NY_ruisu)

海外を旅しながらフリーランスで働く方法。『海外ノマド入門』著者が伝授
(画像=『Workship MAGAZINE』より引用)

聞き手:泉
大学時代、海外ボランティアサークルに所属していたころが人生1番輝いていたと思っているライター(Twitter:@___izumiii)

目次
海外を旅しながらフリーランスで働く準備
海外フリーランスに向いている職種

海外を旅しながらフリーランスで働く準備

もし海外フリーランスを目指すとなれば、気になることは無数にあります。今回はそのなかでもとくに気になる「貯金」「ビザ」「税金」「銀行口座」「英語力」「人脈(仕事)」について、最低限どんな準備が必要なのか聞きました。

海外を旅しながらフリーランスで働く方法。『海外ノマド入門』著者が伝授
(画像=▲インタビュー時、バンコクにいたルイス前田さん。バンコクっぽくない背景、『Workship MAGAZINE』より引用)

どのくらいの貯金が必要?

泉:
海外を旅しながらフリーランスとして働くには、貯金がかなり必要というイメージがあるのですが、実際はいかがですか?

ルイス前田:
もちろん貯金はあればあるほど良いですが、フリーランスとしてすでに仕事をもっている人であれば、多額な貯金は必要ではないと思いますよ。というのも、物価や生活費が安い国に滞在していれば、日本で働くよりもお金が溜まりやすいためです。

日本だと、生活費は1人あたり、最低でも月10万〜15万くらいかかるじゃないですか。でも、たとえばジョージアなら月5万円、タイなら月9万円ほどで暮らせるんです。なので、もともとフリーランスとして仕事をもっていて、生活費が安くすむ国に滞在するなら貯金もあまり必要ないかなと。

泉:
生活費、そんなに安いんですか……!

ルイス前田:
驚きますよね。ただ、「これから脱サラして海外フリーランスになるぞ!」みたいな人は、ある程度余裕をもって貯金しておくのをオススメします。滞在する予定の国で最低6ヶ月、できれば1年くらい無収入でも生きられるくらいの生活費を貯金しておくと精神的に安心して暮らせます。

海外を旅しながらフリーランスで働く方法。『海外ノマド入門』著者が伝授
(画像=▲出典:ルイス前田『海外ノマド入門』扶桑社、『Workship MAGAZINE』より引用)

ビザはどうすればいいの?

泉:
あと気になるのがビザで……。現地の企業で働くうえでは就労ビザは必須だと思うのですが、海外にいながら日本での仕事を受けるフリーランスの場合はどうなるのでしょうか?

ルイス前田:
ビザって「よくわからない領域」ですよね。そもそも従来の就労ビザが、フリーランスの働き方を想定できていないんですよ。フリーランス・ノマドワーカーをどう扱うかは、国によっても大きく見解がわかれています。

ただ、世界的にフリーランス・ノマドワーカーが増えてきたことで、「ノマドワーカービザ」を用意する国もでてきました。

泉:
ノマドワーカービザ?

ルイス前田:
ノマドワーカービザは、就労ビザより取得条件が簡単で、観光ビザより滞在出来る期間が長い、フリーランス・ノマドワーカー向けのビザです。

ビザの発行条件のひとつである「一定額以上の収入」の基準が低いのが、ノマドワーカービザの大きな特徴。ジョージアなら2000ドル以上、ブラジルは月額1500ドル以上、メキシコなら月額1620ドル以上の月収があれば、基準を満たせます。(※2023年1月時点)

収入以外の基準には、

  • 健康保険や旅行保険に加入していること
  • 犯罪歴がないこと
  • 健康であること

などがあり、国によって細かい規定は異なりますが、就労ビザよりは確実に取得しやすいといえます。

2023年1月時点で、世界43カ国がノマドワーカービザを発行しています。行きたい国がある人はぜひ調べてみてください。

【ノマドワーカービザを発行、準備している国々】

  • ヨーロッパ
    アイスランド、アルバニア、(イタリア)、 エストニア、キプロス、(北マケドニア)、 ギリシャ、クロアチア、ジョージア、 スペイン、(セルビア)、チェコ、ドイツ、 ノルウェー、ハンガリー、ポルトガル、 マルタ、(モンテネグロ)、ラトビア、 ルーマニア
  • カリブ諸国
    アンギラ、アンティグア・バーブーダ、 キュラソー、グレナダ、ケイマン諸島、 セント・ルシア、ドミニカ、バハマ、 バミューダ諸島、バルバドス、モントセラト
  • 中南米
    アルゼンチン、エクアドル、コスタリカ、(コロンビア)、パナマ、ブラジル、 ベリーズ、メキシコ
  • アジア
    スリランカ、タイ、台湾、ドバイ、(バリ島・インドネシア)、マレーシア
  • アフリカ
    カーボベルデ、セーシェル、ナミビア、(南アフリカ共和国)、モーリシャス

※カッコ内の国・地域は準備中
(出典:ルイス前田『海外ノマド入門』扶桑社)

税金の扱いってどうなる?

ルイス前田:
ビザと同様に、税金も難しい領域ですが、基本的には日本か、海外の居住先で支払う必要があります。ごくたまに、どこにも税金を払っていない海外フリーランスもいますが、例外的かつリスクもあるので、ちゃんと収めていたほうが安心です。僕は海外を転々としていますが、税金は日本に払っています。

ちなみに、ノマドワーカービザを発行している国などでは、フリーランスを対象とした優遇措置が用意されていることがあります。たとえばジョージアなどであれば、「スモールビジネスプログラム」があり、税率は売上の1%です。

泉:
税率1%!? え、絶対海外で納めたほうがお得じゃないですか……!!

ルイス前田:
ただし、ジョージアで税金を納める場合のルールは日本とは異なりますし、プログラムの対象になるためには条件があります。当然、国によっても税率は異なるので、気になる場合は調べてみてください!

銀行口座はどこに用意する?

ルイス前田:
僕は銀行口座も日本のものを使用しています。海外で働くフリーランスも、日本企業と仕事している人は、基本的に日本の口座を使うはずです。クライアントから振り込まれる先が、日本の口座になるので。

海外の現地企業と取引する場合は、現地の銀行口座が求められますが、国によっては口座を開設するのが大変なので注意が必要ですね。あくまで僕個人の意見になりますが、取引や納税のことを考えると、銀行口座は日本で用意しておくのがいいと思います。

英語の勉強は必要?

泉:
海外で暮らそうとすると、やっぱり英語は話せないとダメですよね……?

ルイス前田:
話せなくても、ぜんぜん暮らせますよ。日常生活で、難しい英単語や文法は必要ないので。買い物するときは、レジ画面に表示されたお金を支払えばいいですし。「語学ができない=海外に住めない」ではないです。

ただ、孤独は感じると思います。リアルで誰とも話せないとやっぱり寂しいじゃないですか。

だから、英語含め現地の言語を学んでおくのは、必須ではないけどオススメ。英語が通じない国もあるので、行ってみたい国の言葉を調べて学んでおくと絶対楽しいと思います。行ってから学ぶのも良いですね!

海外を旅しながらフリーランスで働く方法。『海外ノマド入門』著者が伝授
(画像=▲出典:ルイス前田『海外ノマド入門』扶桑社、『Workship MAGAZINE』より引用)

人脈は必要?

泉:
海外で働きながらフリーランスとして働くとなると、日本にいるときに人脈を広げておかないと食いっぱぐれるんじゃないかと不安です……。

ルイス前田:
人脈はなくてもいけると思いますよ! というより、旅を通じて人脈を広げていけるかなと。

泉:
えっ、それはどういうことですか?

ルイス前田:
海外にも日本人はいるので現地で出会えますし、SNSで旅をしていることを発信すれば、オンラインでのつながりもできます。

それも「旅」「海外」という共通の趣味を通じて出会う人たちなので、友達になりやすいんですよね。僕も、旅のなかでたくさんの人と出会うなかで、著名人とも会いましたが、最初は有名な人だなんて露知らず。、現地で仲良くなって話していくなかで、実はすごい人だと分かって。僕がライターや動画編集者をしていることを話すと、仕事を依頼してくれることもありました。

仕事目的で人と出会うわけではないからこそ、結果的に友達と仕事ができる最高な状況を作れるんですよね。なので、旅のなかで人脈を広げる工夫をするのが、めちゃくちゃ良いと思います。

海外フリーランスに向いている職種

ルイス前田:
前提として、いわゆる在宅ワーク・リモートワークができる仕事であれば、海外フリーランスになれると思います。コロナ禍のとき、多くの人がリモートワークに切り替わったじゃないですか。だから、職種の縛りはあまりないかなと。

ただ、場所や時間の融通が効く仕事、フリーランス向けの仕事が多い職種は、その分海外でも案件を獲得しやすいと思うので、以下の職種はオススメですね。フリーランスになりやすい職種は、海外でも働きやすいというイメージです。

  • ライター
  • 動画編集
  • デザイナー
  • SNS運用者

ちなみに、「海外ノマド入門」で行った調査では、約14%の人が会社員のまま、海外ノマドワーカーとして働いているので、必ずしもフリーランスになる必要はありません。いまリモートワークをしている会社員の方は、上司に相談してみると、前向きに検討してくれる可能性もありますよ!

海外を旅しながらフリーランスで働く方法。『海外ノマド入門』著者が伝授
(画像=▲出典:ルイス前田『海外ノマド入門』扶桑社、『Workship MAGAZINE』より引用)