現在フリーランスとしてライターをしている筆者。フリーランス志望の方から相談を受けるなかで、こんな質問をよくいただきます。
「さまざまな職種があるなかで、なぜ今の仕事を選んだんですか?」
「どうして書くことが自分の強みだと気付けたんですか?」
うーん……何でなんだろう……。いつも言葉に詰まります。
なぜなら、私の場合は、“ライター”に辿り着くまでに2つの職種を経験しているので、「自分は書くことが得意だ!」と自覚するまでにそこそこ時間がかかったからです。
では、自分に合った仕事を最短で見つけるにはどうすればいいのでしょうか。自己理解の第一人者・八木仁平さんに聞いてみました!
八木 仁平(やぎ じんぺい)
株式会社ジコリカイ代表。 ブロガーを経て、2017年に「すべての個性が調和した世界をつくる」ことをビジョンに、株式会社ジコリカイを設立。 著書『世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方』は30万部を超え、ベストセラーに。(Twitter:@yagijimpei)
聞き手:いしかわゆき(ゆぴ)
フリーランス4年目のライター。雑貨営業→広告代理店ディレクター→ライターへ。なぜ自分が終着点としてライターを選んだのかはあまりよくわかっていない。(Twitter:@milkprincess17)
目次
「新卒フリーランス」だった八木さん。「自分に合う仕事」がわからずに苦悩する
自分の「才能」を見つけるための3つの質問
「新卒フリーランス」だった八木さん。「自分に合う仕事」がわからずに苦悩する
ゆぴ:
八木さんは大学卒業後からフリーランスとして働いていますよね。なぜ就職ではなく、新卒フリーランスを選んだんですか?
八木:
僕の場合、「会社員としての働き方が合わない」というのはアルバイトや内定者インターンの時点で感じていたんです。
コンビニのバイトなんて、2ヶ月でクビになったし……。
ゆぴ:
えっ、なぜ!?
八木:
「あなたは仕事のモチベーションも低くて、あまりシフトも入れないから、もうバイトに来なくて
いいよ」って電話越しに言われました。
八木:
そんな働き方を繰り返していたので、「この環境ではパフォーマンスが出せないだろうな」というのには敏感になっていました。
幸い、当時は大学3年生のときに始めたブログの収入が伸びていた時期だったので、そのまま独立して新卒フリーランスになることにしました。
でも、自分が何のために働いているのかがわからなくなってしまって……。メンタルをやられていた時期がありました。大好きなラーメンも、味がしなくなったんです。
ゆぴ:
そんなことが……。
八木:
このままじゃヤバいと思い、いろんな人に「僕は何をすればいいんですか!?」と聞きまくったのですが……誰も明確な答えを教えてくれないんですよね。結局答えは見つからず、焦った僕はタイに行きました。
八木:
そこで気付いたのが、「やりたいこと」は自分の内側にあるということ。
自己理解のコーチングを受けたり、本を読んだり、セミナーに行ったり、すべての時間を「自己理解」に費やすなかで、自分はこれまで、「才能」をうまく活かせてなかったから苦しかったのだと知りました。
人にはそれぞれ「才能」がある。それを活かせるようになれば、自分の生き方に迷いがなくなっていくんですよ。
ゆぴ:
八木さんは、自分の「才能」を見つけたんですね。
八木:
僕の場合、自分の才能は「情報整理」「体系化」などであることがわかったので、「自己理解のメソッドを体系化して伝える」ことが仕事になりました。
才能を知ることで、自分に合った仕事を選んだり、自分オリジナルの仕事を作ったりできるようになると思うので、今日はフリーランスが「才能」を見つけて活かすためのステップをお話ししますね!
自分の「才能」を見つけるための3つの質問
八木:
自分の才能を知るためのワークはいくつかあるのですが、今回は選りすぐりのものをご紹介します。
下記の3つの質問を、自分に対してぶつけてみてほしいんです!
質問1. 「他人にイラッとすることは?」
八木:
僕たちは、「自分なら当たり前にできること」が、できていない状態を目の当たりにしたとき、苛立ちを覚えるんですよ。「どうしてこんなこともできないの?」って。
ゆぴ:
うわぁ、わかります。わたしの場合、効率の悪いことをしている人に対してイライラすることが多いのですが、それは「効率よく物事をこなす」才能があるってこと……?
八木:
まさに!
イラッとするということは、自分がそのことを高いレベルでできているということ。ぜひ、自分がイライラした瞬間を思い出してみてください!
質問2. 「あなたの短所を『だからこそ』で言い換えると?」
八木:
基本的に、短所と長所は、表裏一体なんですよ。
たとえば、僕は人見知りなので、人が集まっている場所に行ったり、新しく人付き合いを始めたりすることがあまり得意ではないんです。
でも、「だからこそ」人と付き合う必要がなく、自分と向き合うことができる……とも言い換えられませんか?
ゆぴ:
たしかに、そう捉えることもできるかも。
八木:
世間一般的に「人見知り」というのは短所と言われていますが、どんな短所でも見方を変えれば必ず長所になります。
ほかにも、ネガティブ「だからこそ」リスクを先回りして考えることができるとか、相手の目線に立って考えることが苦手「だからこそ」自分の意見をストレートに伝えることができるとか。
ゆぴ:
質問1、2とも、ネガティブな要素から考えるのが面白いですね。
八木:
人はポジティブなことよりも、ネガティブなことをよく記憶する生き物なので、褒められたことを探すのはハードルが高いんですよね。
相手がお世辞で言っている可能性もあるし、自分も謙遜して受け止められていなかったりするし……。
「あなたの長所は何ですか?」と言われても、なかなか出てこないと思うので、短所から探して「言い換える」ほうがラクに自分の強みを見つけることができますよ!
質問3. 「他の人は嫌がるのに、自分には楽しいと思えることは?」
八木:
多くの人は「仕事=苦しいもの」だと思っていますが、本来は仕事は遊び感覚でできるほうが結果が出るものなんですよ。
自分には遊びのように楽しいのに、まわりからは仕事として受け止められる。頑張らなくてもできることが「才能」なんです。
ゆぴ:
なるほど。簡単にできるものだから、大したことがないのかと思っていました。
八木:
なぜか、多くの人は「頑張ってできるもの」こそが仕事だと考えてしまいますが、頑張らないでできることが大事なんです。
たとえば、「会議の進行役をすること」が楽しいなら、「みんなの意見を引き出してまとめる」ことが才能。「動物の世話をすること」が楽しいなら、「日々ケアをして変化を見る」ことが才能。
日々の業務を洗い出してみて、「この仕事はラクにできるな」ということを思い出してみてください。
ゆぴ:
ちなみに、「才能」を言語化するポイントはありますか? わたしが人よりもラクにできる「文章が書ける」というのは「才能」とはちょっと違う気がして……。
八木:
そうですね。「文章を書く」「進行役をする」というのは個別具体的なものなので、「その行為のなかの、とくに何が楽しいのか?」に向き合うといいと思います。
たとえば、「文章を書く→気持ちを言葉にする」「進行役をする→意見を引き出してまとめる」のように一般化して、ほかの事柄にも適応できる形に変えてあげてください。