私の新刊で本日、発売での『英国王室と日本人:華麗なるロイヤルファミリーの物語』(小学館・篠塚隆氏と共著)では、ロイヤルファミリーの姓についていろいろ論じている。皇室には名字がないとか、英国王室の姓はなにかとかいうことだ。

新刊の一部と、さらに、紙幅の都合で書けなかったことを紹介する。

エリザベス女王が来日されたとき「我が祖先ウィリアム一世の時から」というスピーチを聞いて、1066年にイングランドを征服したフランスのノルマンディー公ギヨーム(英語読みだとウィリアム)が、日本でいえば神武天皇に当たる存在なのだと知った。

日本の場合には、九州生まれのイワレヒコ(神武天皇)という武人が、大和の畝傍山の麓に建国した小さな国が発展して日本国となり、その子孫が万世一系で皇位を継承している。王朝交代説をいう人もいるが、荒唐無稽であることはあとで説明する。

東洋では朝鮮は李、高麗は王、明は朱、清は愛新覚羅、琉球は尚を姓にしているが、日本の皇室にはないとされる。皇室とか天皇家とか呼ぶことがあるがそれはそれぞれの場面における便宜的なものだ。

しばしば、「皇室にだけは姓がない」というが、「戸籍法上の氏がない」だけだ。日本語で「姓」とは、源平藤橘など天皇から与えられたもので、菅原(加賀前田)とか大江(毛利)、惟宗(島津)もそうだ。しかし、大部分の日本人はそのような姓はもっていない。

名字は住んでいた場所などに由来することが多い。たとえば、徳川家康だと、姓は源で名字が徳川とか松平だが、明治になるとだいたい、名字を氏にした。庶民は姓も名字も両方とも持たない人も多かったが、適当につけたり、地元の名門からもらったりした。

秋篠宮とか敬宮も名字だともいえる。学校では、たとえば、秋篠宮悠仁クンとか敬宮愛子さんと呼ばれるのである。両陛下や皇太子夫妻だけは、名字に当たるものがない。