毎年3月、6月、9月、12月は個人投資家にとって必携とされる「会社四季報(東洋経済新報社)」が発売される。株式投資を行う個人投資家であれば、会社四季報を一度は読んでおきたい。
億り人が株主欄に登場する銘柄の特徴とは
会社四季報には、企業の基本情報の他、企業業績、株価の推移等、上場企業に関する多くの情報が集約されて掲載されている。中でも、企業の業績欄や四季報記者による業績予想や材料についてのコメント内容によっては、株価が大きく動くこともある。以前に比べれば、会社四季報オンラインの登場で妙味は少なくなったが、それでも個人投資家からの注目度は高いと言える。
リーマンショック以降に誕生した安倍首相を中心とした自民党政権アベノミクスによって、日本の株式市場は大幅に上昇。結果、資産総額が1億円以上とされる、いわゆる「億り人」と呼ばれる多くの個人投資家が誕生した。さらに、2017年はビットコインをはじめとした仮想通貨も大幅に上昇し、仮想通貨による「億り人」も誕生した。
日本の主たる株式市場である東京証券取引所は、一部や二部、JASDAQ(ジャスダック)、マザーズに分かれている。一部と二部は大企業向け、JASDAQとマザーズは新興市場向けとされている。さらに、一部上場銘柄を、時価総額と流動性に応じて、大型株、中型株、小型株に分けることができる。
・大型株:時価総額と流動性が高い上位100銘柄(TOPIX100の算出対象)
・中型株:大型株についで時価総額と流動性が高い上位400銘柄(TOPIX Mid400の算出対象)
・小型株:大型株・中型株に含まれない全銘柄(TOPIX Smallの算出対象)
「億り人」と呼ばれる個人投資家は、投資資金額の大きさから、会社四季報の株主欄にたびたび登場する。一般的に、将来性が有望な成長株や、株価が割安なバリュー株であることが多く、新興市場銘柄や中・小型株に属することが多い。時価総額が比較的小さい銘柄に対して、投資金額が大きいゆえに株主欄に登場せざるを得ないという事情もある。
さらに、その銘柄選択眼が羨望の的となるのは、投資対象の銘柄の業績が好調な結果、株価が上昇することも多いため、結果として、「億り人」が保有する銘柄の多くが注目を集め、株価のさらなる上昇につながるケースは多い。
「億り人」を見つけるには?
会社四季報の株主欄をよく読むと「億り人」の行動を捕捉できることに近年注目が集まっている。さらに、「大量保有報告書」でも「億り人」を見つけることができる。と言うのも、上場会社の株券等について、新たに発行済株式総数の5%超を取得した場合や、その後1%以上の増減等が生じた場合等に、投資家が土日祝日を除き5日以内に、大量保有報告書もしくは大量保有変更報告書を提出しなければならないと決められている。時価総額の小さい銘柄の場合、投資資金が大きいがために、発行済株式総数の5%超になってしまう場合もあるからだ。
そこで今回は、成長株や中小型株等への投資で個人投資家の注目を集めている「億り人」を、最新の会社四季報2018年夏号から厳選して紹介する。「億り人」の多くが、数十万円、数百万円から株式投資を始めて、今がある。つまり、個人投資家の誰にでも「億り人」になるチャンスはあり、それが株式投資の醍醐味だろう。
「億り人」も適宜銘柄の入れ替えを行っているため、どのような視点で銘柄を選んでいるのかといった視点から保有銘柄を見れば、今後の投資戦略も立てやすくなるかもしれない。自分の銘柄選択眼にヒントを与えてくれる「億り人」を探してみても面白いだろう。
カリスマ個人投資家が選んだ銘柄は?
億り人の中でも極めて資産額の大きいカリスマ個人投資家はどんな銘柄を選んでいるのだろうか。2018年7月2日時点で調査した(あいうえお順・敬称略・上位5銘柄まで)
・片山晃
オープンドア <3926>
HEROZ <4382>
歯愛メディカル <3540>
テモナ <3985>
岡山県貨物運送 <9063>
・小手川隆
オリエントコーポレーション <8585>
ファルテック <7215>
ユニチカ <3103>
・五味大輔
そーせいグループ <4565>
LIFULL <2120>
イー・ガーディアン <6050>
マネーフォワード <3994>
デジタルメディアプロフェッショナル <3652>
・中谷宅雄
ギガプライズ <3830>
アーキテクツ・スタジオ・ジャパン <6085>
エコモット <3987>
・吉岡裕之
エスクリ <2196>
GMOクラウド <3788>
第一カッター興業 <1716>
クロス・マーケティンググループ <3675>
チャーム・ケア・コーポレーション <6062>
文・横山利香(国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe))/ZUU online
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