町野修斗(左)山口智監督(中)平岡大陽(右)写真:Getty Images

2023明治安田生命J1リーグ第8節の全9試合が4月15日に行われ、湘南ベルマーレは本拠地レモンガススタジアム平塚で横浜F・マリノスと対戦。最終スコア1-1で引き分けた。

昨2022シーズンのJ1リーグを制した横浜FMを苦しめ、勝ち点1をもぎ取った湘南。同クラブを率いる山口智監督がどのような守備を自軍に落とし込み、これが如何ほど機能したのか。ここでは横浜FM戦を振り返るとともに、この点について検証する。


湘南ベルマーレ FW鈴木章斗 写真:Getty Images

湘南vs横浜FM:試合展開

一進一退の攻防が続くなか、均衡を破ったのは横浜FMだった。

後半20分、湘南のMF阿部浩之のバックパスをカットした横浜FMのMF水沼宏太が、すかさず縦パスを送る。このボールに反応したFWアンデルソン・ロペスがペナルティエリア内で右足を振り抜き、先制ゴールを挙げた。

湘南は横浜FMに度々チャンスを作られたものの、GKソン・ボムグンが好セーブを連発。前半38分にA・ロペス、同41分にFWエウベルとの1対1を制すると、後半6分にも相手MF渡辺皓太の強烈なミドルシュートをストップ。数々のファインプレーで湘南を救った。

複数失点を免れた湘南は、試合終盤に横浜FMの一瞬の隙を突く。

後半36分、横浜FM陣内での浮き球パスに途中出場の湘南DF畑大雅が詰め、ボール奪取。ここから湘南の遅攻が始まると、DF杉岡大暉が左サイドからクロスを放つ。このボールに途中出場のFW鈴木章斗が右足で合わせ、ホームチームが試合を振り出しに戻した。前節のFC東京戦(2-2)の試合終盤に、勝ち越しゴールのチャンスを物にできなかった鈴木の活躍により、湘南が貴重な勝ち点1を手にしている。


湘南ベルマーレvs横浜F・マリノス、先発メンバー

緻密だった湘南の守備

お馴染みの[4-2-1-3]の布陣で臨んだ横浜FMに対し、湘南がハイプレスを仕掛ける。基本布陣[3-1-4-2]のFW町野修斗とMF阿部浩之の2トップ、及びMF平岡大陽とFWタリクの2インサイドハーフが中央のレーンを封鎖。この4人のうち3人がポジションを入れ替えながら最前線に立ちはだかり、横浜FMの2センターバック(DF畠中槙之輔と角田涼太朗)から2ボランチ(MF喜田拓也と渡辺皓太)へのパスコースを塞いだ。

湘南の守備隊形(1)タリクが最前線に上がるパターン
湘南の守備隊形(2)平岡が最前線に上がるパターン

左のハーフスペース(ピッチを縦に5分割した際の、左右の内側のレーン)を駆け上がる横浜FMのDF永戸勝也には、湘南のFWタリクがマンツーマン守備で対応。自陣に降りてパスを捌こうとしたアウェイチームのFWマルコス・ジュニオールには、大岩一貴と舘幸希の両DFが最終ラインから飛び出して守備を行った。

これらの連動性溢れる守備に加え、ハイプレスを掻い潜られた際の[5-3-2]の隊形への移行も素早かった湘南。メリハリのあるディフェンスで、昨年のJ1リーグ覇者と互角に渡り合った。

横浜F・マリノス MF山根陸 写真:Getty Images