勝利ポイントは出足の鋭さ
同試合における神戸の勝因は、オフェンス(攻撃)ディフェンス(守備)両面での「出足の良さ」と言えよう。
オフェンスでは、後半27分の4点目のシーンをあげたい。中盤で鹿島からボールを奪った初瀬が山口へパス。すると山口が前を向いた瞬間に、武藤は左サイドの空きスペースへ走り出している。このランに合わせて逆サイドの佐々木も走りだしている。鹿島が戻りながらのディフェンスをしなくてはいけない状況を作っていた。鹿島がディフェンスの準備を仕切る前に攻撃を組み立てるという、神戸の出足の良さが現れたシーンだった。
一方ディフェンスでは、セカンドボール(こぼれ球)に対して、神戸オフェンス陣が必ず反応していたことがあげられるだろう。鹿島の前線へのパスは、山口がほとんどシャットアウトしていた点で見ることができた。
全体的に前への意識が強かった神戸。引いたスタイルを一切見せないことが、アウェイの地での勝利の要因であったと言える。
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MOMは大迫勇也
同試合のマンオブザマッチ(MOM)には、2得点を挙げた大迫を選出する。得点シーンはもちろんのこと、最大の貢献は攻撃時のターゲットとして君臨していたことだ。強みであるポストプレーに加え、前線から降りてきてボールを引き出すプレーを何度も見せた。
得点には至らなかったが、前半26分のシーンは象徴的である。頂点から降りてきた大迫は、山口からボールを引き出す。そのままボールをキープすることで味方選手が上がる時間を作り、サイドを上がってきた初瀬へ。その間にゴール前へは神戸の選手が3人走りこんでいた。
32歳を迎えたストライカー大迫は、自身の得点だけでなく、味方を活かすプレーも選択できるように円熟味を増してきた。同試合ではプレータイムが62分と少なかったが、自身の存在意義をピッチで十二分に証明したと言えるだろう。