それはそれとして、「アミューズメント・レジャー」業界をみますと、愕然しました。「よみうりランド」がなんと10位に入っています。読売新聞の子会社(グループ会社)で、従業員155人の小企業で、遊園地、ゴルフ場経営が主な業務です。
1位はオリエンタルランドで当然としても、3位に東京ドームも入っています。東京ドームは、読売新聞傘下の「読売巨人軍」の本拠地です。株式は三井不動産80%、読売新聞20%です。ここでも、子会社の企業名があっても、親会社の読売新聞の名は全統計から外れています。
子会社、関連会社の名は載っているのに、肝心の親会社の名はない。これまでこんなことは恐らくありませんでした。それほどまで、新聞の就職人気が落ちてしまっている。
政治、経済、社会、国際問題を考えるジャーナリズムのような小難しい業種は敬遠されている。就職するには、そんなものよりエンタメ路線が分かりやすいということでしょう。
新聞を購読する大学生はほとんどいないようですから、その存在も眼中に入らない。テレビよりも、「いつでもどこでも見られるネット」の時代なのでしょう。NHKのテレビも「1週間で5分以下」の人が半数という調査統計があるそうです。NHKを見ているのは中高年以降で、若い世代はまずみないという二極分化の結果らしい。
もっとも、ニトリのインターンシップ(職場体験)には毎年3万人以上が参加し、学生の大きな支持を集めおり、インターンシップ採用、運営の努力がブラディングングを左右する時代だそうです(日経)。ユニクロも同じでしょう。職種、職場も多様で、身近な会社体験ができる。
問題は、就職人気と就職難易度の関係です。就職人気が上位だからといって、就職難易度が高いわけではない。難易度は、企業別就職者数と大学入学時の偏差値を加重平均して比べる。
ある調査によると、難易度の上位10社には、外資系コンサルタント、大手商社、メガバンク、生損保などで占められています。東大、京大、早慶などからの採用が多いと、難易度が高くなる。新聞では日経が入っているとか。
就職統計には、様々な解釈ができるにしても、「ニトリ1位、ユニクロ4位」という統計は、明らかに時代の変容を象徴しています。
編集部より:このブログは「新聞記者OBが書くニュース物語 中村仁のブログ」2023年4月16日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、中村氏のブログをご覧ください。