- 1997年の比較
次に、日本経済のピークだった1997年の状況を見てみましょう。
図2 金融資産・負債残高 1人あたり 政府 1997年OECD統計データ より
図2が1997年の政府の金融資産・負債残高 1人あたりのグラフです。
とても特徴的なのは日本は負債も多かったようですが、金融資産が突出して多かったという事です。その他が大部分を占めますが、その中の多くは財政融資資金預託金となるようです(国民経済計算のデータより)。
一方負債側では、債務証券が2.5万ドルほどでG7で最も多かったようです。
ただし、当時はカナダやイタリアも債務証券は近い水準となっていますね。
正味の純金融負債では、日本は金融資産を多く持っていることからも1万ドル程度でG7でも少ない方になっています。
政府 純金融負債 1人あたり 1997年→2021年 単位:$ 10,431 → 50,318 日本 21,366 → 84,527 アメリカ 7,359 → 15,677 ドイツ 7,356 → 48,629 イギリス 9,190 → 37,535 フランス 19,713 → 18,941 カナダ 22,283 → 51,085 イタリア
- 対GDP比での比較
続いて、対GDP比でも比較してみましょう。
日本は1997年の時点で他国に先行してGDPが成長していたので、やや傾向が異なるかもしれません。
図3-1 金融資産・負債残高 対GDP比 政府 2021年OECD統計データ より
図3-2 金融資産・負債残高 対GDP比 政府 1997年OECD統計データ より
図3が政府の金融資産・負債残高 対GDP比のグラフです。2021年(上)と1997年(下)になります。
2021年のグラフを見ると、日本は対GDP比で最も負債(128%)の水準が大きい国です。
ただし、金融資産(8%)の水準も最も大きく、差し引きの純金融負債は128%でイタリアを下回りアメリカと同程度です。
負債のうち債務証券(国債)が220%で大半を占めている状況ですね。
緊縮と言われるドイツは負債が極端に少なく、純金融負債も31%程度に抑えられています。
1997年の状況を見ると、日本よりもカナダ、イタリアの方が負債の水準が大きかった事がわかります。
特にカナダの変化が興味深いですね。
政府が積極的に金融資産を増やし、純金融負債を目減りさせているように見受けられます。
金融資産は当時から日本の水準が大きかった事も興味深いですね。
政府 純金融負債 対GDP比 1997年→2021年 単位:% 29 → 128 日本 68 → 120 アメリカ 27 → 31 ドイツ 52 → 105 イギリス 38 → 87 フランス 90 → 36 カナダ 102 → 143 イタリア
ビジネス
2023/04/19
金融資産・負債比較 政府編
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