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  1. 政府の金融資産・負債差額

    前回はG7各国の企業の金融資産・負債差額について、1人あたりのドル換算値と対GDP比の水準を比較してみました。

    日本はかつて極端に多い借入金を抱えていたようですが、長期間停滞させていた事で金額的には他国並みに追いついているようです。

    ただし、対GDP比としてはまだ高い水準となっている状況で、負債の多さのわりには付加価値を稼げていないという課題があるように見受けられます。

    今回は、政府の金融資産・負債差額について比較してみたいと思います。

    図1 金融資産・負債残高 1人あたり 政府 2021年OECD統計データ より

    図1はG7各国の政府の金融資産・負債残高について、人口1人あたりのドル換算値(為替レート換算)のグラフです。

    金融資産はプラス側、負債はマイナス側、正味の純金融資産は黒丸で表現しています。

    G7各国とも、基本的には純金融資産マイナスの状態です。

    日本は「1人あたり1000万円の国の借金」と言われますが、国債の水準としては9万ドル弱でアメリカと同程度のようです。

    イギリスやフランス、カナダ、イタリアは5万ドル程度、ドイツは3万ドル程度です。

    各国とも負債側では債務証券(国債)が大半を占めます。

    金融資産側を見ると、日本は債務証券や株式等を多く持ち、カナダに次いで金融資産を多く持っているようです。

    差し引きの純金融負債は5万ドル程度と、アメリカ、イタリアに次いでG7で3番目に多い水準ですね。

    政府の負債は債務証券だけでないという事、政府は金融資産も多く持っている事はあまりニュースなどで聞かないですが、実際の構成としてはこのようになっているようです。