イタリアとオペラ劇場は、切っても切り離せない関係です。それぞれの街に劇場があり、演劇、音楽、バレエなどを楽しむ場として、広く市民に愛されています。 有名なところでは、ミラノのスカラ座、ローマのオペラ歌劇場、ナポリのサン・カルロ劇場、そして「劇場都市」と称される、ヴェネチアには「ラ・フェニーチェ」と名付けられた劇場があります。

このフェニーチェ劇場では、クラシック音楽や室内音楽のコンサート、バレエも鑑賞することができますが、やはり目玉はオペラ(歌劇)。オペラファンならずとも、フェニーチェ劇場でのオペラ鑑賞は素敵な思い出になることでしょう。ここでは、ヴェネチアで1853年に初演されたヴェルディ作『椿姫』やプッチーニ作『蝶々夫人』などの超有名作品から、知る人ぞ知る佳作までバラエティ豊かな作品が上演されます。

この記事では、そんなフェニーチェ劇場を見学できるツアーについて、解説しています。

目次
1. ヴェネチアにあるフェニーチェ劇場について
2. フェニーチェ劇場はどこにある?

1. ヴェネチアにあるフェニーチェ劇場について

ヴェネチアには古くから多くの劇場がありましたが、フェニーチェ劇場は比較的新しい劇場で、1792年に開場しました。

劇場が冠する「フェニーチェ」とは、イタリア語で「不死鳥」を意味します。鷲に似た鳥として表現される、想像上の動物です。死期を悟ると自らを炎の中に投じ、その灰から蘇るとされることから、キリスト教ではキリストの復活と結び付けられ、教会などの装飾にペリカン、羊などとともによく登場します。

この「不死鳥」は、フェニーチェ劇場の、まさに劇的な歴史そのものです。2019年4月15日に起こったパリのノートルダム大聖堂の火災に対して、ラ・フェニーチェ劇場の公式Twitterアカウントが「#NotreDame」のハッシュタグを付けた、励ましのツイートを投稿していました。 これはフェニーチェ劇場自体が、1836年と1996年に起こった2度の火災を乗り越えてきたという歴史を踏まえた、力強いエールなのです。

2. フェニーチェ劇場はどこにある?

フェニーチェ劇場は、ヴェネチア観光の目玉であるサン・マルコ広場とアカデミア橋周辺とのほぼ中間あたりに位置しています。

サン・マルコ広場、あるいはアカデミア橋方面からヴェネチア特有の細い路地をたどると、小さいながらかわいらしいカンポ・サン・ファンティンの、華やかな空間がパッとひらけます。街歩きの途中に、劇場周辺のレストランやバールで一息入れるにはちょうどいい場所です。  

有名劇場をじっくり見学!ヴェネチアのフェニーチェ劇場見学ツアー
(画像=<広場に面した正面玄関。撮影:arissa>、『たびこふれ』より 引用)
有名劇場をじっくり見学!ヴェネチアのフェニーチェ劇場見学ツアー
(画像=<運河側の入口。撮影:arissa>,『たびこふれ』より 引用)

見学ツアーでは、こうしたフェニーチェ劇場にまつわるいろいろなエピソードを、今も現役で使われている劇場で知ることができます。

また、写真のように広場へ面した正面玄関と運河に面した入口を持つ、ヴェネチアならではの建築、設計の際に用いられた木製の模型や、ゆかりの深い歌手マリア・カラスの写真、出演当時のポスターといったレアな資料も間近で閲覧できるのが魅力です。

有名劇場をじっくり見学!ヴェネチアのフェニーチェ劇場見学ツアー
(画像=<マリア・カラスの展示。撮影:arissa>,『たびこふれ』より 引用)

素晴らしい上演作品を鑑賞できる劇場ホールが、2度の火災からどのように復元されたかなどの歴史を知ると、単に美しいホールというだけでなく、ヴェネチアや劇場に関わる人々の「ラ・フェニーチェ」への深い愛情を感じられる、観劇の思い出もより印象深いものになるのです。