このように人口が減ってもメリットがあることがわかれば、若者世代も日本の将来に希望が持てるようになるはずです。人口減少数(幅)ばかりに目を奪われるのではなく、上述の年齢構成バランスを踏まえた“出生数増加長期プラン”を地道に続けることが重要です。その結果仮に数千万人くらいで人口が安定したなら明治時代と変わらないわけですから、国家的な危機とは言えません。

そして出生数を少しでも回復させるには、現政策のようにやたらお金をばらまくのではなく、子育て家庭ができるだけお金を使わなくて済むようにすることですし、若者世代の賃金(収入)の増加や男女の出会いの機会確保も重要です。

具体的には、

雇用制度を大改革し、終身雇用・年功序列の賃金体系を変え、労働市場の流動化(出産・子育て後の復職や再就職がしやすいなど)を図り、年齢に関係なく能力・スキルが評価される体制を整えることで、若者世帯に子育てのための時間的・金銭的余裕が生まれるようにする。 すべての家庭が子供を安心して育てられるように、出産から成人まで直接子育てにかかる費用をできるだけ免除するとともに、特に困窮家庭に対しては、環境(ハード、ソフト両面)整備を行い、国・自治体の責任において直接支援する。 そもそも男女の出会い→結婚・カップルの流れができなければ出産は増えようにありませんから、政府・自治体・マスコミ・有識者が先頭に立ち、特に若者が恋愛・結婚・家庭・子供に希望を持てるようなキャンペーン(人権侵害・差別にならない範囲で)や環境整備を行う。

それでも出生数の急激な増加は望めませんから、一定数の移民受け入れを考える必要もあります。

その場合、不法労働に繋がりやすい低賃金外国人労働者に頼るのではなく、日本を愛し将来日本国籍を取得し、国内で活躍してくれる人材を積極的に受け入れたほうが、日本の経済発展や出生数の増加に繋がりやすいはずです。

政府は先を見据えた長期的なビジョンにたって少子化対策を行うべきであり、馬の鼻先に人参をぶら下げるようなやり方で、結局はそのツケを将来国民に払わせることがあってはならないと思います。

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