無用なアイドリングは逆にトラブルを招くことも

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暖機運転して、出発前にエンジンをかけておく、つまりアイドリング状態で車を放置しているという人がいるかもしれません。
しかし、こうした暖機運転のやりすぎは、車の寿命を延ばすのではなく、逆に縮めてしまうことにもなりかねません。なぜでしょうか?
エンジン内で起こるトラブルとして気を付けなければならないのが、金属同士の接触です。
通常エンジン内部には緻密に計算された空間があり、その間にオイルが入っています。エンジン内部のクランクシャフトやカムシャフトはオイルによる油圧で動き、これらの部品はオイルの中で浮いているような状態になっているため、金属同士がぶつかり合うことはなく、スムーズにエンジンが動いているのです。
しかし、オイルが劣化するか、油圧が下がると、金属部品がオイルの中で浮いている状態が保てなくなり、金属同士が接触し、摩耗を起こします。これがエンジンブローの原因にもなってくるのです。
エンジン始動直後は、オイルが冷えていて固いため、オイルを送り出すのに通常よりも大きな力が必要になり、油圧は高まります。そのため油圧低下を原因とした金属接触は起きにくい状態なのです。
ただし、オイルが温まり、オイル自体の流動性が高くなると、油圧は下がり、オイルを送り出す力も小さくなるためエンジン内の油量も少なくなり、金属接触や摩耗が起きやすくなるのです。
つまり、無用に車を止めたまま、アイドリングをし続ける行為が、車のエンジンを傷める可能性に繋がるということになるのです。
最もおすすめなのは“暖機走行”

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現在の主流は、走りながら車を温める暖機走行です。メーター内の水温計が1メモリ上がるまで、もしくは低水温状態を示すランプが消えるまでは、ゆっくりとアクセルを踏み込み、走りながら車の準備運動を行ってあげてください。
車が動き出してすぐの状態で、急ハンドル・急ブレーキをかける行為は、動きの硬いサスペンションを傷めつけ、冷えたブレーキを酷使する行為です。
これと同じで、エンジンも徐々に本来の力を発揮しようと準備をしている途中なので、出発直後から急加速を行い、エンジン回転数を大きく上げる行為は避けたほうが良いでしょう。
また、一般的には不要と言われる暖機運転ですが、冬の厳しい環境となると話は変わります。雪国で自動車整備を行う整備士からは、こうしたコメントもありました。
「氷点下の環境では、車自体が想定を超える低温になっている可能性もあり、このような状況下では数分間の暖機運転を行うほうが無難でしょう。」
寒冷地ではフロントガラスが凍り付く、雪に車が埋もれているなど、車を暖めなければ出発できない地域もあります。こうした地域では、雪下ろしの間にエンジンをかけて暖機運転を行う、フロントガラスの凍りつきが溶け、視界が確保できるまで暖機運転を行うということは必要な行為です。
筆者も積雪地帯に住むドライバーであり、冷え込みの強い日や雪の日は、リモコンエンジンスターターで、10分ほど暖機運転をしてから出発します。地域によっては暖機運転の必要性も出てくるということを理解しておきましょう。
高性能になった車にとって、暖機運転はほとんど必要なくなりました。それでも準備運動は必要です。暖機走行を行い、車に優しい動かし方を覚えておくといいでしょう。
文・MOBY編集部/提供元・MOBY
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