自己実現欲求
次は自己実現欲求だ。人生でやりたいことに挑戦する。自分の可能性を試すといった欲求がこれである。正直、ほとんどの人はこの段階に至ることは難しいと思っている。なぜならその一つ下の階層である承認欲求を乗り越えるのは至難の業だからだ。
これは過去記事でもよく取り上げている事例の一つだが、地元の高齢経営者は年収4000万円くらいあるのに、ずっと承認欲求で躓き続けている印象を受ける。高級外車を乗り回し、夜のお店で羽振り良く後輩経営者に奢り続けているが、裏では自慢がウザいよねと陰口を叩かれている。一生懸命やっているのに気の毒に思う。
だが、承認欲求を満たすことができれば、人は自然と次の自己実現欲求に歩を進めることになる。この段階に来れば仕事は楽しくなる。人生で本当にやりたいこととか、楽しいことで毎日を過ごすからだ。その中で少しでも技術や知識の上達を目指したりする。こうなるともはやゲーム感覚だ。
筆者の親戚の工学博士号を取得した人物は、趣味が論文を読んで勉強することだという。仕事でもプライベートでもとにかく研究し続けている。これ以外の娯楽は知らないという。理想的な人生だろう。
自発的な勉強そして仕事を頑張っていると自然に勉強をすることになる。逆に仕事なしでは自発的な勉強はかなり難しいと言わざるをえない。
「必要は発明の母」という言葉がアメリカにはあるが、「仕事は勉強の母」という言葉に置き換えることができるだろう。仕事で新たな知識や技術の必要性に迫られれば、必然的に勉強せざるをえない。そうなればビジネスマンとしてもレベルアップができるし、何より勉強自体とても楽しい行為だ。
もちろん、実利的なメリットを追求するだけでなく、リターンを気にせず好きなことを勉強するというのもありだ。ここからは本筋と離れてしまうが、具体例を取り上げる。
筆者は最近、料理教室に申し込みをした。手前味噌でおこがましい限りだが、筆者は料理の腕にはかなりの自信がある。しかし、日常生活を送る上ではどうしても似たようなメニューになるし、味より健康を重視したものに偏りがちだ。だから技術を学びたいというより、無理にでもレパートリーを広げる環境に身を置きその過程を楽しもうという算段である。
おそらく作りより買った方が安いが、自分はパンやケーキを焼けるようになりたい。過程そのものが楽しいからだ。こういう勉強も存在する。
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以上の3点である。いずれも仕事以外で満たすことはかなり難しいだろう。仕事の価値は綺麗事抜きでお金を稼ぐだけではないのだ。
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