海の底に沈んだ”古代ローマ時代の別荘”が見つかったようです。
今月3日、伊カンピ・フレグレイ考古学公園(Campi Flegrei Archaeological Park)の研究チームは、イタリア南部・ナポリ湾の海底にて、古代ローマの富裕層が建てた「ヴィラ(villa)」の跡地を新たに発見したと報告しました。
ヴィラとは、上流階級の人々が郊外に建てた別荘のような家屋を意味します。
またこの地は、BC100年〜AD500年頃までローマ人の金持ちで賑わったリゾート地「バイア(Baiae)」が遺跡として眠っている場所です。
今回見つかったヴィラは、そのリゾート地の中に建てられた邸宅の一つと見られています。
「古代世界のラスベガス」と称されるリゾート地

ナポリ湾の北西岸に没しているバイア遺跡は、かつてローマの富豪たちが休暇を過ごすために訪れるリゾート地となっていました。
バイア遺跡の発掘と水中調査は1941年に本格的にスタートし、今日に至るまで、別荘や大浴場、広場、神殿群、神々を彫刻した石像やブロンズ像の数々が見つかっています。

バイア自体は紀元前100年頃に建設され、共和国時代(BC509〜AD27)の後期になって富裕層のリゾート地として脚光を浴びるようになったと言われています。
栄華の絶頂期には、地中海の美しい景観や豪奢な建築に加え、地下の火山活動を利用した温泉やスパが人気を博していたそうです。
ローマの詩人であるホラティウス(BC65〜BC8)は「この世でバイアに優る美しい場所はない」と書き残しています。
その豪華絢爛さは海中に没した遺跡からも伺い知れることから、考古学者たちはバイアを「古代世界のラスベガス(Las Vegas of the ancient world)」と呼んでいるほどです。

全長80mに広がる別荘跡を新たに発見!
そして最近、カンピ・フレグレイ考古学公園の調査チームがバイア遺跡の海底スキャンをしていたところ、全長80メートル以上に広がる「ヴィラ」の跡地を新たに発見したのです。
建物の大部分はすでに失われて久しいですが、その内部構造からさまざまな部屋で構成されていたことが明らかになっています。
これは明らかに古代ローマの富豪が所有した大邸宅の名残りです。

また直接的な水中調査を行った結果、大理石のタイル張りの床や保存状態の良い石柱が多数発見されました。
中には、ギリシャのキオス島を原産地とする珍しいポルタサンタ大理石を使った石柱など、歴史的遺物として貴重な建造物もいくつか確認されています。
特に大理石のタイルを見つけたときは大興奮だったそうで、三角に切り取った大理石を交互に並べて美しい幾何学模様が表現されています。

それから重い屋根を支えるための巨大な石柱の残骸も見つかりました。
これらの柱の中には、自然の作用で崩れているものもありますが、その他は2000年も経っているとは思えないほど素晴らしい保存状態にあったという。
回収された彫刻などの一部は今後、洗浄作業が終わり次第、カンピ・フレグレイ考古学博物館にて展示される予定です。

しかし、このローマのリゾート地はなぜ海中に沈んでしまったのでしょうか?