なぜ、「好かれる」イメージを持ったほうがいいのか?
カナダにあるウォータールー大学のダヌ・スティンソンは、お互いに面識のないメンバーで、5名1組のグループを作ってもらい、月に一度、マーケティング調査の一環として架空の商品について話し合ってもらう、という実験をしました。
このとき、スティンソンは、事前に「自分がどれくらい他のメンバーに受け入れてもらえると思いますか?」と尋ねておいたのですが、「私は、受け入れてもらえる」と答えた人たちは、話し合いのときに、自分も温かな振る舞いをしていました。
そのため、他のメンバーからも快く受け入れてもらえることがわかりました。ところが、事前の調査で、「私なんて、どうせ受け入れてもらえない」と答えていた人は、実際の話し合いにおいて、素っ気ない態度をとりやすく、それゆえ拒否されやすくなることもわかりました。まさしく、予言の自己成就どおりの結果になったわけです。
自分が思っていることが行動にあらわれる人に会うときには、たとえ根拠などなくとも、「私は気に入られるはず」と思っていたほうがいいかもしれません。そうやって思い込んでいると、その気持ちが自分の言動にもあらわれ、朗らかで、快活な態度で接することができるでしょう。
「自分は嫌われる」と思っていると、相手と目を合わせることをせず、やる気のなさそうな顔になります。そういう態度を見せるので、相手のほうも「なんだ、こいつ!」と不快感、嫌悪感を抱き、本当に嫌われてしまうのです。好かれるか、嫌われるかは、自分の思い込みが決めるのです。
良いタネを蒔いておけば、良い結果を収穫できますし、悪いタネを蒔いておくと、悪い結果しか得られないということを忘れないようにしたいです。
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内藤 誼人(ないとう よしひと) 心理学者 立正大学客員教授 有限会社アンギルド代表取締役社長
慶應義塾大学社会学研究科博士課程修了。社会心理学の知見をベースに、ビジネスを中心とした実践的分野への応用に力を注ぐ心理学系アクティビスト。趣味は釣りとガーデニング。著書に、『世界最先端の研究が教える新事実心理学BEST100』『世界最先端の研究が教えるすごい心理学』『世界最先端の研究が教えるもっとすごい心理学』(以上、総合法令出版)など多数。その数は200 冊を超える。
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編集部より:この記事は「シェアーズカフェ・オンライン」2023年4月10日のエントリーより転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はシェアーズカフェ・オンラインをご覧ください。