プラットフォーム共用化やアーキテクチャーのメリットは?

「最近の車はどれに乗っても同じ?」車のプラットフォームとはいったい何?
©tamayura39/stock.adobe.com(画像=『MOBY』より 引用)

プラットフォームや部品を共用するアーキテクチャーの推進は、自動車メーカーに様々な合理化のメリットをもたらします。前述の通り、開発、生産コストが大幅に抑えられ、同時に安定した品質の確保が可能です。また、ひとつのプラットフォーム、モジュールによって、より多くの車種を生み出すこともできます。

一方、ユーザーは安定した車両価格、スピーディな納車、パーソナルに合わせた内外装の仕様といったメリットが享受できます。車種によっては、多様なカラー設定の中から自由な組み合わせが可能ですが、これもアーキテクチャーのメリットと言ってもいいかもしれません。

反対の例を言えば、「ランドクルーザー」や「ジムニー」は長納期の状態が続いていますが、これは他車種と共用できる部分が少ないからとも言えます。もちろん、まったく共用部分がないわけではなく、ジムニーはエンジン、内装部品などをスズキの他車種と分け合っています。

しかし、ラダーフレームという特殊な構造は自社内でもスタンドアローンな存在であることは間違いありません。仮にジムニーがモノコックボディのSUVだったら、違う結果になっていたかもしれません。

「最近の車はどれに乗っても同じ」という声にも頷ける

「最近の車はどれに乗っても同じ?」車のプラットフォームとはいったい何?
2021年12月14日に公開された、トヨタの新型BEV(画像=『MOBY』より 引用)

ただ、こうした共用化はいい側面だけでないのは確かです。昔からの車好きからは、「最近の車はどれに乗っても同じ」という声が聞かれますが、これはある意味でアークテクチャーの影響があります。

見た目が違う車種でも、多くの部分を共用しているわけですから、多少味付けを変えたとしても似てくるのは仕方ありません。

同じメーカー内ならともかく、建前上はメーカーが違うアライアンス内のモデルも共用化で似てしまうため、ユーザーにはブランドをチョイスする意味がバッジだけになってしまいます。

しかし、本格的なEV時代が目前の昨今、アーキテクチャーの推進が進むのは確実です。2021年にトヨタは、車格の違う17台のEVを一気にお披露目するという発表会を開き、世間を驚かせました。

トヨタは2030年までに30モデルのEVを発売するとしていますが、こうしたことができるのも、アーキテクチャーのおかげと言えるでしょう。電子部品が多いEVでは、モジュールの共用化がさらに大きな合理化を生むからです。

クルマは「家電化」が進んで、価格や買いやすさだけで選ばれる時代になりつつあると言われています。これも、ある意味、プラットフォームの共用化、アーキテクチャ−の功罪かもしれません。こうした状況下だからこそ、楽しく魅力的な車をいかに造るかが、今後のメーカーに課せられる命題となっていくのでしょう。

文・MOBY編集部/提供元・MOBY

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