勢力を急激に拡大することをあらわす「席巻」という表現。
しかし、「席」や「巻」という漢字の組み合わせは一見無関係なように見えます。

そこでここでは、「席巻」という言葉について、その意味や成り立ちなどについて解説します。

「席巻」とは

「席巻」とはどういう意味の言葉?その読みや「圧巻」との違いは?
(画像=『FUNDO』より 引用)

まずは「席巻」という言葉について見ていきましょう。

「席巻」の意味

「席巻」は、激しい勢いで勢力を広げる様子をあらわす語句です。
対象となる範囲を端から全て自分のものするという意味となります。

現代では、急速に影響を及ぼしていく状況や一気にシェアを伸ばしていく事に対して用いられることもあります。

読み方は「せっけん」

席巻の読みは、「せっけん」となります。
「巻」の読みとしては、訓読みの「まき」と音読みの「カン」が代表的といえるでしょう。
そのため、「ケン」という音読みはイレギュラーな読みにも見えますが、実はそうでもありません。

「カン」という読みは、音読みの中でも『呉音』と呼ばれるものです。
奈良時代後期以前から日本に定着していた漢字の読み方です。

それに対して、「ケン」は遣隋使や遣唐使、修行僧によって奈良時代後期以降平安時代初期の期間に日本に伝わった音読みの種類です。
「カン」という読みのほうが古く定着していたため、「ケン」という読みがされる語句が少ないのかもしれません。

「席巻」の由来

「席巻」とはどういう意味の言葉?その読みや「圧巻」との違いは?
(画像=『FUNDO』より 引用)

では、「席巻」という言葉はどのようにして生まれたのか、その成り立ちについて見ていきましょう。

「席巻」の成り立ち

席巻という熟語は、「蓆を巻く」という言葉から生まれたとされます。
「蓆」とは、藁などの植物を編み込んで作った敷物のことです。

敷物の「蓆」を端から丸めていくように領地を攻め落としていくという様子から来た言葉とされています。

「席」があらわしているもの

「席巻」の「席」は、「蓆」を簡略化した表現です。
なので、座席のようなスペースを指しているわけではありません。

ちなみに、「席」自体には現在でも敷物の「筵(むしろ)」という意味が残っています。