突然ですが質問です。

このお菓子のことなんて呼んでます?
私は「あんたがたどこさ」だと思っているんですが、編集部の皆に聞いたら
「肥後太鼓」
と意見が割れております。とても気になったので製造元である岩田コーポレーションさんに話を聞きに行ったところ
「え?」
「え??」
の連続なくらい、知らなかった情報がばかりだったのでご報告させてください。
結局このお菓子の名称はなんだ

ということで熊本市北区フードパル内にある岩田コーポレーションへやってきました。

ご対応いただく岩田コーポレーション渡邊さん。
ムトー「突然ですが肥後ジャーナル編集部内においてこのお菓子の名称で意見が割れております。本当の名前は一体何なのでしょうか」

渡邊さん「これは…」
ムトー「これは…?」
渡邊さん「肥後太鼓です!」
嘘でしょ。ずっと店頭でも、あんたがたどこさどこですかって聞いてたのに。
渡邊さん「いやそういう方、珍しくないんですよ。全体の1割程度は肥後太鼓のことを、あんたがたどこさって言われます」
ムトー「ほら!!!でもなんでそんな勘違いしたんだろう…?」

渡邊さん「まあプロモーション間違えた感じですね!あはははははははは!!!!企業名が岩田コーポレーション、屋号があんたがたどこさ、商品名が肥後太鼓です」
なんと明るい方なのでしょう。しかし聞きたいことはこれだけではありません。
食べたことがある方はきっとお分かりでしょうけども

ピーナッツとか色々入っているのに、キレイに平らなんですよ。
ムトー「これどうやって作っているんですか?まさか1粒1粒大きさごとに分けているとか?」
渡邊さん「いや大きさで分けるまではしてないですよ。全部手作りだけん、そこまでの手間はなかなかですね」
ムトー「え?手作り?」
渡邊さん「え?そうですよ。機械じゃできませんもん」
なんということでしょうか。まさかの手作り。どうやって作っているのかは企業秘密だけん教えられんと言われましたが、特別に動画を見せてもらいましたので
記憶力を頼りにイラストでお知らせします。
まずは

雪平鍋に水飴を入れて温めます。
ムトー「え?雪平?自宅にもある?」
渡邊さん「はい雪平鍋」

水飴を温めている間にホットプレートでナッツ類を軽く炒めます。
ムトー「え?ホットプレート?」
渡邊さん「え?はい」
水飴が温まったらナッツ類を鍋に入れて

混ぜます。イラストがかわいいのでホンワカしたイメージですが実際は違います。
こんなホンワカしてたらあっという間に水飴が固まってしまうので、秒単位の世界です。鬼神のごとく手首を動かし混ぜていきます。
そしてアッチアチな水飴with豆類を
グワシと掴み

※イメージです。
1個40グラム(2022年まで)なので、手で計測し型枠にはめていくのです。
熟練のワザでもう大体の感覚で40グラムって分かるんですって。目に見えないほどの早業でグワシと取り、型枠に入れていくそのさまが映っていました。(もちろん手袋つき)
ムトー「嘘でしょ。熱すぎません?」
渡邊さん「秤でしよったら固まるもん」
型枠に入った水飴with豆類はどんどん冷え固まっていくので固まる前に丸く平らに成形します。
ここも時間勝負です。
神の手をもった職人さんにお会いしたかったのですが、お仕事中なのでそれは叶わず。違う機会でぜひ「ドキドキッ!これは何グラムだろな選手権大会」を行いたいという旨は強く伝えてきました。
「え?」の連続
気になる疑問を解決したのはいいものの、新たな疑問がわいてきました。
ムトー「肥後太鼓って水飴の甘さとおかきやナッツなどの塩味じゃないですか。まさかと思いますが、熊本の元祖甘じょっぱい?」
渡邊さん「あーどうですかね。ちょっと年表見てみましょうか」

1949年昭和24年に飴菓子屋さんとして熊本市新町に創業した岩田コーポレーション。
ムトー「ああ、だけん肥後太鼓は水飴で固めているんですね」
渡邊さん「そうです。元々飴菓子屋で、そこから豆菓子を製造した経験があるので、それを合体させたのが肥後太鼓です」

渡邊さん「1959年(昭和34年)に、豆菓子のすずめの卵の生産が始まりました」
ムトー「え?あのすずめの卵?」
渡邊さん「はい。ただこれはうちが発祥ではないです。昔からよくあったお菓子ですね。今も販売してますけど九州外に催事に行って販売するとそもそも知らんって人が多いんですよね。特に関東から上」
ムトー「え?これは全国みんな知っているお菓子ではないのですか?」
渡邊さん「多分。肌感ですけど。関西までですね」

関東では黒糖クルミの方が人気なんですって。
渡邊さん「で、諸々経て1999年(平成11年)に肥後太鼓発売」
ムトー「え?そんな最近?もっと昔からあるように思ってました」
知っているようで知らないことって多いなとは思ってましたが、こんなに連続で「え?」が出るとは。