ウィーン国立歌劇場”トリスタンとイゾルデ”。

5時間の果て、目は潤み神経はぼーっと。演出以外、感動〜♪

まずは、歌手がとびっきり。アンドレアス・シャーガーとニーナ・シュテンメ。ワグネリアンだったら、これだけでもうゾクゾクしちゃうでしょう。シャーガーは、パリで数年前にトリスタンとパルジファル聴いてて、極上ヘルデンテノールぶりを満喫してた。ニーナは、去年ここで初体験。感動的なブリュンヒルデを”神々の黄昏”と”ワルキューレ”で堪能し、ファンになった。

タイトルロール歌手がすごく大切なこの作品で、当代きってのワーグナー歌手二人が揃うなんて、なんという幸せ。

2幕後半、二人の圧倒的な歌唱に興奮し、ずるずる引き込まれる。ワーグナーってすごいというか怖いと思うのは、ふたりの逢瀬が明るみ出るシーン。観客も二人と同じように完全にこの世界の深みにはまっていると、いきなり現実に引き戻されてうろたえる。ワーグナーに精神を完全に操られている気がする。ニーナの”イゾルデの死”は、神々しいというかあまりに切なく悲しくそして美しく、涙なしには聴けるはずもなく、あちこちから鼻を啜る音。

オーケストラもブラーヴォ!